MS&ADホールディングス、子会社による金融庁への業務改善計画に係る報告書を提出
MS&ADホールディングスの子会社である三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保(総称して以下「両社」)は、2023年12月26日付で金融庁より受けた行政処分(業務改善命令)に基づき、6月13日、第5回となる業務改善計画に係る進捗および改善状況報告書(以下「報告書」)を同庁に提出した。
同社は、グループ各社に対する経営管理態勢を強化し、両社による業務改善計画の着実な履行を監督・指導していく。同社ならびに両社はかかる事態に至ったことを厳粛に受け止め、全力を挙げて改善・再発防止に取り組み、信頼回復に努めていく。
【三井住友海上】
三井住友海上は、2024年2月29日付で金融庁に報告した業務改善計画(以下「当初計画」)に基づき、6月13日、第5回目の進捗状況報告書を金融庁へ提出した。
同社は、2025年3月24日付の業務改善命令を真摯に受け止め、当初計画を抜本的に見直すとともに、保険代理店と保険会社の間で個人データの漏えいまたは本人同意のない第三者提供(以下「漏えい等」)事案に関する再発防止策を策定し、2025年5月30日付で新たな業務改善計画(以下「新計画」)を提出している。
今回の第5回進捗状況報告においては、新計画の策定で特定した真因、漏えい等事案に伴う再発防止策の実行状況も踏まえながら、当初計画に基づき、進捗を報告した。
相次いで発生した問題に真摯に向き合い、改めて実施した真因の分析結果も踏まえた再発防止策を講じていくとともに、今後も主に次の2点を軸に、業務改善計画を不退転の覚悟で断行することで「ビジネスモデルの変革」を実現し、お客さまと社会からの信頼の回復に努めていく。
<改めて特定した真因と主な取組の状況>
①.顧客本位の業務運営の態勢の整備と実践
・階層別研修(ライン部長・課長、新任ライン課長、キャリア採用、新入社員)においてお客さま本位の業務運営の実践を周知した。
・2025年4月、人事改革を本格的に開始した。「年齢・性別を問わず、部門や上下の役職を超えて相互に繋ぐ共通言語」であるスキルを基軸に、「言える企業文化」「改革にチャレンジする風土」を醸成し、「社員一人ひとりが希望する仕事やキャリアを、スキルを手段として自ら掴み取る機会や成長・貢献実感を得られる会社」を目指すことで、顧客本位の業務運営の徹底を図っていく。
②.経営陣の姿勢と企業文化
・経営トップがグループ合同の新入社員研修にてグループMVVを説明した。
・人事評価制度において、全社員共通の行動目標とグループMVVとの紐づけを実施している。
・同社の企業カルチャーに関する監査を重点取組領域の1つとして2025年度の内部監査計画に組み入れ全社員に周知している。
・地域担当役員会議、営業部支店長会議で全地域担当役員、営業部支店長に2025年度組織評価(未来ソリューション・プログラム(以下「ミラプロ」))の主旨等を説明した。グループMVVの更なる浸透のため、経営陣自らの言葉を繰り返し発信していく。
③.第二線・第三線の機能発揮
・2025年4月定期異動において、第二線・第三線への異動者を前年比で大幅に増員し、配置した。
第二線・第三線のキャリアパス明確化や他部門からの異動、キャリア採用等の人財多様化により人的リソースを拡充し、引き続き3ラインの態勢強化に取り組んでいく。
・社外専門家からの客観的・専門的な指摘やアドバイスが得られる「予兆検知対策会議」を全社的な法務・コンダクトリスクの予見・予兆検知力強化取組、リスクカルチャーの定着等に向けた取組の中心と位置づけ、2025年5月末までに12回開催した。2025年度も同会議を中心に、強固なビジネスモデル構築に資するべく全社的な予兆検知力強化に引き続き取り組んでいく。
④.取締役会・監査役のガバナンス ⑤.持株会社によるガバナンス
・取締役会の外部評価レポートに基づき、2025年度の取締役会の機能向上策を策定した。
・同社グループは、持株会社の監査等委員会設置会社への機関設計変更(2025年6月予定)等を通じ、グループ取締役会の監督機能強化及びグループ全体のガバナンス強化を図っていく。
・また同社は、2027年4月を目途とするあいおいニッセイ同和損害保険(以下「AD社」)との合併を見据え、持株会社・合併準備委員会の傘下に新たに設置した「構造変革・企業革新小委員会」において、業務改善計画の更なる高度化と整合を図るべく詳細協議を進めていく。
【あいおいニッセイ同和損保】
あいおいニッセイ同和損保は、2024年2月29日付で金融庁へ報告した保険料調整行為に係る業務改善計画書※1(以下、「本業務改善計画」)に則して具体的な改善策を実施しており、6月13日、本業務改善計画における第5回の進捗状況(2025年5月末時点)を金融庁へ提出した。
また、同社は2025年3月24日付の業務改善命令※2に基づき、2025年5月30日に個人情報漏えいに係る業務改善計画書※3(以下、「新業務改善計画」)を策定し、金融庁へ提出している。策定にあたっては、外部専門家の視点も取り入れたうえで、健全な組織風土の醸成や経営管理態勢の強化に向けた再発防止策を抜本的に見直し、取り組みの強化を進めている。
同社は、一連の命令を厳粛かつ真摯に受け止め、全役職員が一丸となって着実に本業務改善計画の取り組みを継続し、お客さま本位の業務運営を実践していく。
【業務改善計画の取り組み状況(2025年5月末時点)】
■企業保険分野における適正な競争実施のための環境整備に向けた方策の検討、実施
〇他損保社との接触ルールに関する取り組み
・他損保社との接触について、損保社のみでの懇親は開催・参加ともに原則禁止、会議・研修への参加は要件を設けるなどルールを策定した。一連の情報漏えい事案を受けて2024年8月に接触ルールを改定し、全社員向けにルールの徹底に向けた研修を実施した。
・2025年4月に各部門における自主点検を実施し、適切に運営されていることを確認した。引き続き自主点検等を継続するとともに、議事録記載・保管ルールの不備が認められた部署を中心に指導を行いる。
〇政策株式保有の見直し
・上場の政策株式保有を2029年度末までにゼロとするため、削減計画や具体的な実行策・計画を策定している。
・上場の政策株保有に関して、全投資先と2029年度末までの売却について合意をした。
〇過度な便宜供与の見直し
・サービス業者・購入先・発注先・要請元・斡旋先等に対し、保険契約の獲得やシェアの維持・拡大を条件としないことを丁寧に説明している。
・2025年1月に実施した営業部門の実態調査で確認された全771件のうち、既に実態調査以前に解消済みのものも含め、2025年5月時点で724件が解消済みであり、2026年3月末までに全件解消見込みである。
〇出向の見直し
・グループ企業等を除く代理店への新規出向を原則見合わせ、既存の出向についても概ね2026年3月末に解消する。
・2025年3月に出向者向けマニュアルの見直しを実施、また4月には人事部に出向統括部門を新設する等、出向者の管理態勢を強化した。
・今後もお客さま情報の漏えい防止、不正競争防止法、独占禁止法の遵守の観点で見直しを行った「出向に関する基本方針」に基づく取り組みを継続する。
〇代理店の保険募集にかかる役割明確化
・入札時・契約引受時における契約関連情報(リスク情報等)につき、契約者からの入手が原則であることや、やむを得ず代理店から入手する際の手順を明確化した情報入手ルールを策定している。
・営業部支店の責任者が自組織の実態を点検し、本社第1線がモニタリングするルールを定め、2024年10月から運用を開始した。点検の結果をふまえ、情報入手ルールについて社員の理解が進んでいることを確認している。