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損保協会、新納協会長ステートメントを発表

損保協会は、新納啓介会長ステートメントとして9月の定例会見以降の主な取組みについて公表した。
冒頭では保険料調整行為、およびビッグモーター社による保険金不正請求について謝罪し、損害保険は形のない商品であり、会員各社は万が一の事故の際に保険金を支払うことや防災・減災の取組みを通じて、お客さまに安心と安全を届けている。この役割を果たすためには、社会からの信頼を欠かすことはできない。しかし、残念ながら、保険料調整行為、および保険金不正請求の問題によって、損害保険業界への信頼は毀損している、と言わざるを得ないとした。そして、損保協会と会員各社は、当業界が一日も早く信頼を回復することを目指し、取組みを進めていくと述べている。主な項目は次のとおり。
■信頼回復に向けた当協会の取組みについて
1.保険料調整行為
・会員全社に対する法令遵守の徹底を要請(2023年6月)
・コンプライアンス・プログラムの改定(2023年7月)
・会員会社向け独占禁止法コンプライアンス・セミナーの開催(2023年9月)
<ルール面の整備(12月15日リリース)>
・「損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針」を改定、同法遵守に関する会員会社が策定するルールの前提となる基本的な考え方を記載
・「保険契約引受にかかる独占禁止法上の留意点」を新設し、営業担当者の行動(他社との関わり方等)に関する留意点等を記載(2024年3月予定)
・当協会「行動規範」を改定し、「独占禁止法遵守」を明記(2024年3月予定)
<会員各社や代理店向けの啓発(12月15日リリース)>
・会員会社向けに「独占禁止法遵守に係るコンプライアンス・セミナー」を定期開催し、専門家から損害保険実務に即した独占禁止法上の留意点等について解説(2024年度以降、毎年開催予定)
・関連団体である損害保険事業総合研究所が実施する講座において、若手社員等向けに独占禁止法の基礎知識、過去の損保業界における独占禁止法に関わる事案等を解説(2024年度以降開催予定)
・会員会社社員、代理店・募集人が受験する損保一般試験教育基礎単位のテキストを改定し、独占禁止法の基礎知識、保険募集における留意点を追記(2024年4月テキスト改訂、2024年7月の試験より使用)
・代理店・募集人向けの対策として、「募集コンプライアンスガイド」を改定し、独占禁止法上の留意点を追記(2024年2月予定)
・独占禁止法の基礎知識、保険募集における留意点をわかりやすく解説する動画コンテンツを制作し、会員会社・代理店・募集人に周知(当協会の募集人向けウェブサイトにも動画コンテンツを掲載)(2024年2月予定)
2.ビッグモーター社による保険金不正請求
<会員各社におけるお客さま対応を支援する取組み(11月24日リリース)>
・自動車保険の等級訂正を円滑に進めるための方策の整理
<会員各社における不正請求対策を支援する取組み(11月30日リリース)>
・ビッグモーター社による請求内容の調査結果を踏まえた不正の類型・手口の事例、対策の整理(金融庁から報告徴求命令を受領した会員会社の事例)
・「損害保険の保険金支払いに関するガイドライン」を改定し、お客さまの意向に沿った入庫紹介や、事案に応じた適切な損害調査手法の採用について、考え方を明確化(本ガイドラインを基に、損害サービス委員会において会員各社における不正請求防止対策を確認し、好事例を共有するなど、フォローアップを実施)
・既存の不正請求対策の点検・総括
<募集面における取組み(未リリースの取組み)>
・不適切な募集行為があった代理店の募集人に、損保一般試験の再受験を求める等の再教育の仕組みを導入(2023年12月導入済み)
・損保一般試験の教育テキストを改定し、不祥事件等に関する学習内容を拡充(2024年4月テキスト改訂、2024年7月の試験より適用)
・代理店・募集人向けの募集コンプライアンスガイドを改定し、募集人への教育においても不正請求の事例や対応ルール・留意点を改めて周知(2024年2月予定)
・既存の不正請求対策の点検・総括を踏まえたレベルアップ策の検討(2024年3月予定)
3.会員各社における再発防止の徹底
当業界の信頼回復のためには、会員全社が保険料調整、保険金不正請求に対する抜本的な対応と、これらの問題を踏まえたお客様本位の経営態勢の構築について、スピード感を持って推進していくことが重要であると考えている。
このため、前述の保険料調整、保険金不正請求の再発防止策に対するフォローアップに加え、当協会としての取組みを公表する都度、私自身から会員全社のトップに対して、書簡を通じて再発防止取組みを徹底いただくことを要請してきた。
また、12月21日の理事会でも各種再発防止策の全体像を改めて示した上で、各社内での取組みを加速いただくよう、会員全社のトップに直接、呼びかけたところである。
■就任時に掲げた各種取組みの進捗について
1.対外発信の強化
2.自然災害対応に向けた啓発
3.リスク情報をより必要とする方々に向けた啓発
(1)若年層の方に対する取組み
<生保業界との連携>
<高校生への損害保険教育>
<ぼうさい探検隊>
(2)海外から来られた方が日本で安心・安全に過ごせるための取組み
(3)中小企業に対する取組み
4.アジア各国における損害保険事業の発展に向けた貢献
■おわりに(要旨)
協会長に就任して半年間、各重点取組みを含め様々な活動を行ってきた。しかし、尚も当業界に対する信頼が毀損していることを踏まえ、当協会の責務である「安心・安全な社会の実現」に向けて各重点取組みを進めると同時に、保険料調整行為および保険金不正請求の問題について、引き続き業界をあげて対応していくことが必要であると考えている。
保険料調整行為については、過去にも独占禁止法に抵触する事案が発生し、対策を講じていたものの、再び同法に照らして不適切な行為が行われた事案が発生したものである。また、保険金不正請求については、悪質な手口を想定した対策が不十分であったこと等から、今般の問題が発生したものである。いずれの問題も、課題認識していたにも関わらず、環境や情勢の変化に気づけず、取組みに徹底を欠いていたことが招いた側面は否定できず、誠に残念に思っている。
急務となっている当業界への信頼回復に向け、被害を受けられたお客さまへの対応に誠意をもって取り組むと共に、この問題への対応をターニングポイントとし、二度と同じ過ちを繰り返さないため、強い決意をもって再発防止取組みを進めていく。加えて、これまでの会員会社・代理店との関係や商慣習の見直しを行い、正すべきところは正し、真のお客様本位の業務運営に変えていきたいと考えている。
協会長として、当業界の先頭に立って取組みをリードし、信頼を回復していく覚悟であることを改めて表明する。

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