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金融庁、エヌエヌ生命に業務改善命令を発出

金融庁は、2月17日、エヌエヌ生命に対し、業務改善命令を発出した。いわゆる節税保険の不適切な販売があったとし、昨年7月同様の理由で発出されたマニュライフ生命に続く2例目の行政処分となった。
今回の処分の理由として、
◆「金融庁では、令和元年2月の国税庁による法人税基本通達の改正に係る保険業界への周知以降、累次にわたり保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を行わないよう注意喚起を行っているほか、同年10月に保険会社向けの総合的な監督指針」(以下、「監督指針」の一部を改正し、法人等向け保険商品の設計上の留意点として、「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動につながる商品内容となっていないか」という観点を明確化し、節税(課税の繰り延べ)を訴求した商品開発を含め、同活動を防止するための指針を示している。
しかしながら、同社は、こうした状況を認識しつつ、名義変更による法人から個人(経営者等)への資産移転を用いた節税ニーズに応えるために、低解約返戻金型の法人向け商品を開発していく方針を商品委員会の資料に明示的に記載して、経営陣の関与の下、組織的に開発・販売を決定するといった悪質性の高い事例が認められた。
また、上記の注意喚起や監督指針の一部改正後も、本社営業推進部門が全国の営業拠点に対して、税務上の損金計上を訴求した不適切な保険募集に繋がりかねない営業推進活動(営業ツールや研修ツールの提供等)を組織的・恒常的に行っている実態も認められた」
◆「同社は、保険募集・引受管理態勢(第1線)、法令等遵守態勢(第2線)、内部監査態勢(第3線)の各層において基本的な態勢を整備しておらず、多くの問題点が認められた」
―などの点を指摘し、報告徴求命令において適切に報告されておらず同社の自主的な改善は十分に期待できず、同社の確実な業務改善計画の実施及び定着を図っていくためには当局の関与が必要と判断し、業務改善命令を発出した。
■業務改善命令の内容
保険業法第132条第1項に基づく命令(業務改善命令)
(1)業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
1. 経営体制の見直しを含む経営管理(ガバナンス)態勢の抜本的な強化
(今回の処分を踏まえた経営管理(ガバナンス)上の問題点に関する経営姿勢の明確化、及び今後のビジネスモデルのあり方に係る検討を含め、下記2~5を着実に実行するために必要となる態勢の整備・構築)
2.保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動による契約の特定、調査等、適切な顧客対応の実施 
3.営業優先ではなく、コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成
4.適切な募集管理・引受管理態勢の確立(代理店に対する十分な牽制機能の構築を含む)
5.適切な商品開発管理態勢の確立
(2)上記(1)に係る業務の改善計画を令和5年3月31日(金曜)までに提出し、ただちに実行すること。
(3)上記(2)の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3カ月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和5年5月末とする)。

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