日本生協連、全国生協と脱炭素社会の実現に向け温室効果ガス排出削減について目標を引き上げ
日本生協連は、全国の生協で推進する「生協の2030環境・サステナビリティ政策」の中で、温室効果ガス排出削減の目標を引き上げる。2030年目標は「CO2排出量を2013年度比で40%削減」から「50%以上削減」とし、2050年目標を「90%削減」から「CO2排出量実質ゼロ」とする。また、サプライチェーン排出量についても全国生協で排出量の算定を進め、将来的に2℃を十分に下回る水準で目標設定を目指す。
生協は消費者のくらしに密接なエネルギー問題について強い関心をもち、2004年から計画的に温暖化対策に取り組んできた。2010年代からはCO2排出削減目標を設定のうえ、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用を通じて事業における排出削減を進めている。
気候変動は深刻化し、平均気温は上昇を続けている。異常気象や干ばつが、世界各地で自然環境や人々のくらしに影響を及ぼしている。国連のグテーレス事務総長はG7広島サミットで「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来した」と表明した。平均気温の上昇を1.5℃までに抑えることを目指し、国や企業、市民社会、そして私たち一人ひとりが気候変動対策に取り組む必要がある。
生協は、消費者が共通の願いを実現するために協同して運営する組織である。共通の願いである「人間らしいくらしの創造と持続可能な社会の実現」を理念に掲げ、地域や地球環境を大切にした事業と活動を展開している。事業者としての責任を果たし、消費者とともに持続可能な社会をつくるため、生協は以下のように温室効果ガス削減目標を見直する。
目標達成は平易ではなく、社会制度の整備や技術革新が欠かせない。今回の目標引き上げにあたっては、さらなる排出削減に取り組むため、再生可能エネルギーの積極的な開発と利用、そしてEVトラックの導入を進めていくことを柱としている。次世代トラックの普及やペロブスカイト太陽電池の開発にも期待している。また、将来的に目標設定を目指すサプライチェーン排出量に関しては、取引先や組合員など様々な主体と連携のうえ、取り組みを推進していく。
■会員生協におけるEVトラック導入事例
現時点で5つ以上の生協が徐々にEVトラックの導入を開始している。
■生協における再生可能エネルギーの開発状況
生協は2030年までに年間発電量4億kWh(設備容量200MW相当)の再生可能エネルギーを創出することを目標に掲げており、2023年時点で年間発電量約2.3億kWh(設備容量約124MW)まで開発できている。
日本生協連は全国の生協とともに、日本の生協の2030年ビジョンで掲げた「つながる力で未来をつくる」の実践として、脱炭素社会の実現を目指す。