日本生命、職場環境分析サービス「SAAGAS（サーガス）」の開発・提供開始

日本生命は、企業・団体向けのストレスチェック集団分析において、新たなアルゴリズムを活用したサービス「SAAGAS（サーガス）※1」を開発した。同サービスについて、2024年中の提供開始に向けて、3月25日から案内を開始する。
※1 　ストレスチェック結果を基に、高度な分析で職場環境を評価し、課題から施策まで簡便かつ効率的に“さがす”ことのできる新たな集団分析サービスの名称（Service for Advanced Assessment with Group Analysis for Stresscheckの略）
1.背景
現代社会では、コミュニケーションの希薄化等、労働生活環境をはじめとした様々な要因によりこころの健康問題が重層化しており、個々人のみならず、社会組織においてもメンタルヘルスが重要なテーマとなっている。とりわけ企業・団体等においては、健康経営(R)※2や人的資本経営の観点からも、こころに関する早期相談や不調への対応に対する関心が高まっている。
一方、勤労者50名以上の事業者にはストレスチェックが義務とされているものの、仕事に関する不安や悩みを感じる人の割合が高止まりするなど、現行のストレスチェックの集団分析においてこころの健康状態が十分に可視化されていないといった課題が指摘されている。
こうした中、同社では、勤労者や地域住民のこころの健康をデジタルツールで支える「デジタルメンタルヘルス」の技術開発を目的として、2022年6月より、ストレスチェック制度の設計に関わった川上憲人特任教授（東京大学大学院医学系研究科）との共同研究を進めている。
当該研究の一環として、ストレスチェックにおける16の調査尺度※3のうち4つの尺度に基づく健康リスクの評価にとどまっている「ストレス判定図」に着目し、職場環境要因とアウトカム指標（ワークエンゲージメント、生産性等）の相関分析を可能とする新たなアルゴリズムの開発に至った。
※2　「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標
※3　ストレスチェックに用いる職業性ストレス簡易調査票の16尺度：
＜ストレッサー＞「仕事の量」「仕事の質」「仕事の適性」「コントロール」「身体的負担」「技能の活用」「対人関係」「働きがい」「職場環境」
＜修飾要因＞「上司の支援」「同僚の支援」「家族の支援」
＜ストレス反応＞「仕事の満足度」「生活の満足度」「心理的ストレス反応」「身体的ストレス反応」
2.同サービスの概要
本アルゴリズムをコア技術として、手元のストレスチェック結果を活用し、人的資本経営でも求められるPDCA取組を後押しする。同サービスでは、ストレスチェックデータを最大限活用し、企業・団体等の職場環境における実態把握から、課題の特定、施策の提示、評価・振り返りに至るまで幅広く支援し、勤労者のメンタルヘルスの改善・向上に役立てる。また、データアップロードからレポート出力までWeb完結する「SAAGAS専用Web」によって、人事労務担当者の負荷軽減も期待される。
＜PDCAの内容＞
○Plan（計画）
・ストレスチェックデータをアップロードし、「メンタルヘルス不調」「ワークエンゲージメント」「生産性」に関わる8つのアウトカム指標※4を全国・業種平均比で評価
・部署別・職種別等のさまざまな切り口で各指標に影響する職場環境要因まで特定し、改善方針を策定
○Do（実行）
・職場環境要因の改善に資する全国の取組事例を基に、効果が見込まれる具体取組を選定・実行
○Check（評価）　Action（改善）
・継続的に毎年のストレスチェックデータを分析し、取組効果を振り返るとともに当年度の取組を選定・実行
※4　8つのアウトカム指標：
「心理的ストレス反応」「高ストレス者」「うつ病の発症」「休職」「仕事の満足度」「ワークエンゲージメント」「プレゼンティーイズム」「アブセンティーイズム」
3.今後の展開
同社は「ニッセイ健康増進コンサルティングサービス（Wellness-Star☆）」を通じ、保険者や企業における健康増進取組を分析から予防策の提供までトータルで支援している。同サービスの提供によって、これまでの「身体」領域サービスに加えて「こころ」領域への対応もカバーすることで、健康長寿社会づくりに向けた一層の支援が可能となる。
今後は、全国の企業・団体に対して同サービスを幅広くかつ迅速に提供するために、ストレスチェック等の人的資本経営サービスの提供事業者との連携を深めていく。
また、東京大学をはじめとした学術機関との共同研究を通じ、さらなる「こころ」領域のサービスの高度化に取り組み、職場や地域社会において一人ひとりがいきいきと働ける環境づくりやウェルビーイングの向上に貢献していく。