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生保協会、「新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取組み及び次のパンデミックに向けた経験の継承」を作成・公表

生保協会は、コロナ禍における生命保険業界の取組みを振り返り、パンデミックに対する経験として今後に活かすため、「新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取組み及び次のパンデミックに向けた経験の継承」(以下「本報告書」)を作成し、同会HPにて公表した。
同会では、2022年4月に、コロナ禍における生命保険業界の取組みや、その中で進展したデジタル化に向けた取組み、海外主要国の状況等を「新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取組み報告書」として取りまとめた。
その後、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数が爆発的に増加するなど急激な環境変化が続く中で、お客さまからの期待に応えるため、生命保険業界は一丸となって対応し、約3年半で延べ1,136万件、1.3兆円にのぼる保険金等を支払ったが、事務手続きのひっ迫に伴う支払遅延等の課題もあった。
こうした経験や課題をしっかりと受け止め、未来のよりよい取組みに繋げるためにも、今一度、コロナ禍における生命保険業界の取組みを振り返り、改めて「後世への経験の継承」を行うことが重要と考え、本報告書を作成した。
同会は、次のパンデミックにおいても、お客さまに信頼され、確かな安心を届けるという生命保険業界の役割を果たし続けられるよう、今後とも会員会社とともに各種取組みを推進していく。
■目次と概要
1.エグゼクティブサマリー~生命保険業界の対応概要~
・新型コロナウイルス感染症を巡る一連の対応において、生命保険業界は、未曾有のパンデミックに対応してきた全ての方々とともに、お客さまに寄り添って、業界一丸となった取組みを推進した。
・行政と連携しながら、関係省庁や自治体と協議を行い、自治体や保健所・医療機関の実務にも配慮しながら、感染症対応体制を構築のうえ確実な業務運営を図るとともに、みなし入院による入院給付金の支払い等各種お客さま向け特別取扱を実施し、合計約1兆3,144億円(※)にのぼる保険金等の支払いを実施した。
(※)東日本大震災における保険金等の支払いは約1,599億円。
2.新型コロナウイルス感染症対応体制
・生命保険協会では、2009年に策定(随時改正)した「新型インフルエンザ等対策要綱」に基づき、2020年2月「新型コロナウイルス感染症にかかる協会対策本部」 (以下、「協会対策本部」)
を設置した。
・協会長を本部長とする「対策本部役員会」において、緊急時の対応について機動的に判断・実施。
・新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更や生命保険協会・会員各社の対応状況等を踏まえ、2023年5月、協会対策本部を解散した。
・生命保険事業の公益性も踏まえ、お客さまや従業員等の感染防止対策を講じつつ、必要な業務の継続ができるよう、「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を策定し、会員各社に参考として提供した。
・会員会社の取組みについてアンケートを実施し、取組事例を共有した。
・緊急事態宣言が発令されるなど感染状況が悪化した場合または緊急事態宣言が延長または解除された場合に速やかに意思決定が行えるよう、協会業務の休止・継続・再開等の手続き(本部長一任)について対策本部役員会において事前に決議し、業界として円滑な対応を実施した。
・なお、政府からも、金融システムの機能維持や顧客保護の観点から、地域の状況や業務内容、規模、特性に応じて、必要な業務の継続が可能となるよう、臨機かつ柔軟なBCP対応の要請があった。
3.お客さま向けの柔軟な対応と社会への支援
・お客さまや従業員等の感染防止対策を講じた上で、万一の際に安心をご提供するという生命保険の使命を果たすべく、確実な保険金・給付金の支払いに加え、非常時の社会環境等を考慮して柔
軟なお客さま対応を実施した。
・また、社会への影響を考慮し、社会の一員として、医療従事者をはじめとする困難に直面した方々へ寄附等の支援を実施した。
・生命保険協会は、保険料払込猶予期間の延長措置および保険金等各種支払に関する措置(簡易支払)の実施を決議し、また、「新型コロナウイルス感染症の対応に係る保険金等各種支払に関するガイドライン」を定めるなど、会員各社の取組みを後押しした。
・会員各社は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、当局からの要請等も踏まえ、前例にとらわれることのない、柔軟な保険約款の解釈・適用を行うことで、お客さまに寄り添った対応を実施した。
・一般的に入院給付金は、①治療の必要性、②病院または診療所に入り、常に医師の管理下にあることが要件とされているが、感染拡大期、「病院または診療所に入ること」が難しい場合があったため、入院が必要にもかかわらず、上記事情により、臨時施設または自宅にて医師等の管理下で療養を行った場合には、医師等の証明書類に基づき入院と「みなす」特別取扱を会員各社の判断において開始した。(=「みなし入院」)
・2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類感染症に移行するまで、入院・勧告措置や発生届出の取扱い等、支払判断において準拠・考慮する政府等の対応が変遷したが、都度、時々の各種実態を総合的に考慮し対応した。
・みなし入院による給付金支払いは、新規陽性者数の拡大とともに増加した。
・給付金請求に際し、療養証明書を求めることが、保健所等の逼迫に繋がることから、当局からの要請や、負担軽減の観点から療養証明書の発行を求めない事務(代替書類等)を会員各社で構築。
・また、神奈川県では「自主療養届出制度」として、医師の診断や発生届出が行われなくても、所定の条件のもと自治体が自主療養を証明する対応が行われ、会員各社の判断によって活用された。
・会員各社では、被保険者が不慮の事故または所定の感染症により死亡した場合等に、災害死亡保険金等を支払いする特約等を提供。
・新型コロナウイルス感染症の感染拡大や感染症法上の位置づけなどを踏まえ、会員各社は、新型コロナウイルス感染症を直接の原因とする死亡等について災害死亡保険金等の対象とする取扱いを実施した(会員各社によって、特別取扱の根拠や2023年5月8日以降の取扱いは異なる。)。
・生命保険協会では、医療現場の最前線で尽力されている医療従事者の方々などへの支援として、2020年5月に会員会社から資金拠出を受け、10億円の寄附を実施した。
・地方協会でも、新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、計3,499万円の寄附・寄贈を実施した。
・また、会員各社でも、新型コロナウイルス感染症対策に尽力されている団体・事業者・医療機関等に対して様々な形で寄附・寄贈がなされた。
4.取組みに関する情報発信
・2020年4月、生命保険協会ホームページに新型コロナウイルス感染症に関する特設ページを公開し、生命保険契約に関する特別取扱いや生命保険会社の相談窓口等について情報提供を実施した。
・また、会員各社でも、同様に特設ページを開設し、適宜必要な情報提供が行われた。
5.取組みに対する評価
6.次のパンデミックに備えて
~安心をお届けする生命保険業界であり続けるために~
(参考1)新型コロナウイルス感染症に係る日本政府等の主な動向
(参考2)お客さまから寄せられた感謝の声
(参考3)海外の事例(台湾における事例)

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