第一生命、世界初となる「カーボン・キャプチャー&ストレージ・ボンド」に投資
第一生命は、Havenbedrijf Rotterdam N.V.(以下「ロッテルダム港湾公社」)が発行するカーボン・キャプチャー&ストレージ・ボンドに約47億円投資した。本債券は、資金使途をCO2の回収・貯留(カーボン・キャプチャー&ストレージ、以下「CCS」)に限定した世界初の社債である。発行にあたり、ロッテルダム港湾公社、同社、HSBC証券が協議を重ね、同社が最大の投資家となっている。
ロッテルダム港は、欧州最大の物流ハブであり、化学・石油化学・物流等の産業施設が集積している。その港湾の管理・運営・開発を担うロッテルダム港湾公社は、脱炭素化を進めることが港湾の競争力強化にもつながるとの考えのもと、カーボン・ニュートラルな港の実現に向けて幅広い取組みを実施している。
本債券により調達された資金は、ロッテルダム港湾公社が合弁パートナーと共同で推進するCCSプロジェクト「Porthos」に充当される。本プロジェクトは、北海の枯渇ガス田※1に、ロッテルダム港に拠点を置く企業から排出されたCO2を恒久的に貯留するための回収・輸送インフラを構築するもので、ブルー水素※2製造や、化学・石油精製などの産業由来で排出されたCO2を対象とし、年間250万トンのCO2を15年間にわたり回収し恒久的に貯留する計画である。また、本プロジェクトは複数の企業が共同で利用できるオープンアクセス方式を採用しており、特定企業の専用ではなく産業全体で活用できる共通インフラとして整備される点が特徴である。
CCSは、CO2を大気に排出せず回収し地中に貯留することでCO2排出量削減に直接貢献する革新的な技術で、CO2排出量を大幅に削減することが困難な産業に対しても有用な手法として注目されている。2050年のネットゼロ実現に重要な役割を果たすことが期待されており、EUでは2030年までに年間5,000万トンのCO2を貯留するという目標を掲げている。
第一生命グループは、2030年に目指す社会の実現に向け、事業を通じて取り組むべき重要課題をコア・マテリアリティとして定めている。同社は本投資を、4つのコア・マテリアリティのうち「GreenLeadership(環境課題への戦略的対応)」につながる取組みとして、安定的な運用収益を期待するとともに、ロッテルダム港湾公社の脱炭素化に向けた取組みを資金面からサポートし、その進捗状況を継続的にモニタリングしていく。
同社は、今後も引き続き運用手法の高度化・多様化によって資産運用収益の向上を図るとともに、責任ある機関投資家として持続可能な社会の形成に寄与すべく、サステナブル投融資に積極的に取り組んでいく。
【本債券の概要】
発行体 ロッテルダム港湾公社
発行額 50百万ユーロ(約90億円)
第一生命投資額 26百万ユーロ(約47億円)
償還期間 19年
※1 採取が進み、天然ガスが採れなくなったガス田
※2 天然ガスなどの化石燃料を原料として製造される水素で、その過程で発生するCO2を回収・貯留するなどして排出を抑制したもの
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