富国生命、2024・2025・2026年度日本経済の見通し(改訂)
富国生命は、2024・2025・2026年度の経済見通しを改訂した。実質GDP成長率予測は2024年度+0.4%(前回+0.7%)、2025年度+0.9%(前回+0.8%)、2026年度+0.8%としている。
○7~9月期は個人消費の増加などにより、2四半期連続のプラス成長
2024年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比+0.2%(年率+0.9%)と2四半期連続のプラス成長となった。給与の伸び率が徐々に高まり、夏の賞与の増加と定額減税もあって可処分所得が改善するなか、自動車やスマートフォンなどの耐久財を中心に個人消費が増加した。7~9月期の成長率は、個人消費の持ち直しなどを受けた輸入の増加を主因に同社の前回予測を下回ったため、2024年度の成長率予測を引き下げた。
○日本経済は緩やかな持ち直し基調を維持するだろう
米国大統領選の結果はトランプ候補の勝利となった。米国経済は、関税の引き上げなど次期政権の政策によりインフレ率が上昇するリスクはあるものの、良好な所得環境を背景に個人消費は底堅く推移するため、堅調さを維持するだろう。
日本経済は、緩やかな持ち直し基調を維持するだろう。政府による電気代等への補助が10月に一旦終了し、所得税等の定額減税の実施も年末までに概ね完了することが今後のマイナス要因であるものの、良好な雇用環境や冬の賞与の増加を背景に個人消費は底堅く推移すると見込まれる。なお、2025年の春闘においても、2024年と同程度の賃上げが実現すると想定している。設備投資は、省力化や脱炭素化のための投資など、企業の投資意欲は強いものの、建設工事などにおける人手不足もあって、緩やかな伸びにとどまるだろう。
輸出はインバウンドが含まれるサービス輸出が堅調に推移するなか、半導体需要の回復や中国における経済対策の効果もあって、財輸出も持ち直しが続くだろう。
○衆議院選挙後の政策の動向などが見通しの変動要因
日本では衆議院選挙の結果、与党は国会運営において一部の野党の協力が必要となった。野党各党の政策をみると、所得税などの減税、最低賃金の引き上げの加速などに共通点が多い。これらが採用されれば、経済見通しにおけるプラス要因となるだろう。
一方、米国の次期政権による関税の引き上げが世界的な報復関税の応酬を引き起こすとともに、日本からの財の輸出にもマイナスの影響を及ぼす可能性がある。