朝日生命、新中期経営計画「ネクストA-『2030年のありたい姿』の実現に向けて-」を策定
朝日生命は、前中期経営計画「Advance」で掲げた、同社の2030年のありたい姿「人生100年時代を迎え、生命保険事業を通じて、社会の課題解決に貢献する会社、お客様の“生きる”を支え続ける会社」について、引き続きその実現に向け取り組んでいくため、2024年4月から3ヵ年の新中期経営計画「ネクストA-『2030年のありたい姿』の実現に向けて-」を策定した。
■1.新中期経営計画策定の考え方
(1)前中期経営計画「Advance」の振り返り
前中期経営計画「Advance」においては、「2030年に向けた成長の道筋をつくる3カ年」との位置づけのもと、下記の戦略を推進し、グループの新契約の伸展による保有契約の増大、資産運用収益の確保等を通じて収益力の向上を図った。
・生命保険事業および資産運用を中心としたサステナビリティ経営の推進
・同社の強みを生かした第三分野保障の提供、「介護保険といえば朝日生命」というブランドの確立、重症化予防等のヘルスケアの取組み
・マーケットへの対応力向上に向けた、営業職員チャネルの進化、なないろ生命の立ち上げ、およびデジタルチャネルや海外事業の拡大展開
・資産運用収益の確保、経済価値型ポートフォリオへの移行、責任投資の推進によるグローバルな社会課題の解決への貢献
・成長ドライバーと位置付けたDX戦略・人財活躍推進戦略の推進
コロナ禍や物価上昇等の厳しい事業環境下ではあったが、「グループお客様数」「グループ保障性商品の新契約年換算保険料」「グループ保障性商品の保有契約年換算保険料」について、経営戦略目標を達成した。また、その結果として、格付が向上した。
(2)新中期経営計画策定の考え方
同社は、生命保険事業が社会保障制度と共に社会を支える使命を担っており、事業活動そのものが企業としての社会的責任を果たす重要な活動であるとの認識のもと、サステナブルな社会の実現に貢献していく。
新中期経営計画「ネクストA」においても、医療・介護等の負担の増加や、気候変動等の社会課題に2024-2026年度新中期経営計画ネクストA-「2030年のありたい姿」の実現に向けて-対し、最適な保険商品・サービスの提供、資産運用における責任投資の推進、気候変動対策を中心とした環境保全等の取組みを通じて、2030年のありたい姿を目指す。
同社を取り巻く事業環境は、2030年までは同社のメインターゲットであるシニア層のお客様は一定のボリュームを維持する見通しであるが、日本の生産年齢人口の減少に伴う国内マーケットの縮小や労働力不足に加え、物価高によるコスト増や家計に対する影響等が想定される。また、2025年から経済価値ベースのソルベンシー規制の導入が予定されている。
さらに、2030年以降はシニア層を含む人口減少の加速に加え、AI・デジタル技術の進化等が、生命保険事業に従来にない変革をもたらす可能性がある。
そのため、これらの事業環境変化を勝ち抜く「チャネル」「人財」「体制」が必要であり、その課題認識に基づき、お客様一人ひとりに最適な商品を最適なチャネルで提供することを通じて足元の新契約業績と収益力を確保する。また、AI等の新しいテクノロジーを積極的に取り入れ、2030年以降も持続的に成長するビジネスモデルの構築に向けて「柔軟かつ耐久力のある事業構造」への変革を加速させる。
具体的には、新中期経営計画を「2030年のありたい姿の実現に向けた道筋を確かなものとする3ヵ年」と位置づけ、以下の3点を中心に取り組んでいく。
1)お客様一人ひとりに最適な商品・サービスの提供
営業職員チャネルにおいては、人財育成とDXを推進し、全国のお客様に質の高いコンサルティングと丁寧なサービスを持続的にお届けできる営業職員体制を構築する。また、なないろ生命においては、さらに多くのお客様に新たな選択肢を提供していくための体制整備を進める。
このように朝日生命グループ全体でお客様一人ひとりに最適な商品を最適なチャネルで提供することを通じ、グループベースの収益力の向上を図る。
2)2030年以降も持続的に成長するビジネスモデルへの変革の加速
環境変化を素早く察知し、組織と行動を柔軟に変化させ、AI等の新しいテクノロジーをビジネスに繋げられる人財を育成し、推進体制を構築する。そのために、職員の自律的な挑戦や成長をサポートし、変化に挑戦していく組織づくりを進める。
また、海外事業においては、既存事業の拡大に加え、新たな事業展開に向けて取り組む。
3)予測困難な事業環境変化に向けた検討・対応の推進
予測困難な事業環境変化に対応するため、新しいビジネスやテクノロジーについて調査・研究を進め、その対応策について積極的に取り組むとともに、ヘルスケア・介護等の生命保険事業の隣接領域での新たな収益ビジネスの立上げを目指す。
加えて、労働力不足や業務の専門性の高まり等が想定される中、「人的資本経営」と「DX戦略」を重要取組テーマとして取り組んでいく。
■2.事業戦略
新中期経営計画「ネクストA」では、同社のメインチャネルである営業職員チャネルに加え、なないろ生命をはじめとする朝日生命グループ各社が有する強みを最大化することで、「お客様一人ひとりに最適な商品を最適なチャネルで提供できる体制」を実現していく。
<営業職員チャネル>
将来の事業環境変化も見据え、「2030年以降も持続的に成長するビジネスモデル」への変革を推進していく。営業職員の給与引上げや育成体制の拡充等の積極的な投資により、お客様と接する営業職員チャネルの強化を図るとともに、デジタル化により営業活動の刷新・生産性向上を実現する。また、同社の強みである医療・介護保障の商品ラインナップの拡充を通じて、引き続きお客様へ付加価値を提供していく。
また、お客様一人ひとりのニーズに向き合い、人とデジタルの力で、最適なサービスの提供を目指す。
そのために、Web手続きの更なる利便性の向上、シンプルでわかりやすい電子手続きの拡充、AIを活用したお客様サービスセンターの対応力向上等を図る。
<なないろ生命>
次の3ヵ年を「グループの成長エンジンとして、2030年に向けた第二の成長ステージに移行するための種蒔きと盤石な体制の整備」のための期間と位置づけ、魅力的な商品の継続提供、委託先代理店数の拡大、および、商品・チャネルの多角化に向けた営業体制の拡充により、事業の安定化とさらなる飛躍を目指す。
<海外事業>
2023年3月にベトナム・ホーチミン市に設立した現地法人の事業を軌道に乗せ、現在展開している現地保険会社に対するコンサルティングビジネスの業容拡大を図るとともに、新たな事業展開を進める。
加えて、アジアを中心とした海外マーケットでのさらなる拡大を目指す。
■3.資産運用戦略
円金利資産中心のポートフォリオを維持しつつ、適切な分散投資を行うことで、安定的に資産運用収益を確保し、トータルリターンの向上を目指す。また、責任投資のさらなる推進により、グローバルな社会課題の解決へ貢献する。加えて、専門人財の育成とDXの活用により、資産運用体制の強化に取り組む。
■4.リスク管理態勢
現行会計ベースの規制に加え、経済価値ベースのソルベンシー規制を見据えた健全性・収益性の向上に資するリスク管理を実践していく。また、コンプライアンス・リスクカルチャーのさらなる浸透を図る。
■5.重点取組テーマ
①人的資本経営への取組み
「持続的に成長するビジネスモデル構築を人財面から支えること」を目的とし、「経営戦略」と「人財活躍推進戦略」を連動させ、人財面から「経営課題の解決」「企業価値向上」を下支えする人的資本経営を推進する。そのために、ウェルビーイングの考え方を採り入れ、職員個々の力や専門性を高め、エンゲージメントの高い人財づくりに取り組んでいく。
②DX戦略への取組み
2024年1月にリリースした新営業用端末「スマートアイ」のさらなる機能拡充等、販売チャネルの変革を支えるインフラ整備を推進していく。具体的には、お客様とのリモート面談の推進や、新活動管理・支援システムの導入による営業活動の高度化を図る。
また、予測不能な事業環境変化に対応し、テクノロジーの進化をチャンスに変えるため、イノベーションやDX、先進的なITを研究し、ビジネスへの応用を考える「ASAHI DIGITAL INNOVATIONLAB」の機能を拡充するとともに、新たなビジネスの開発を推進する専管組織を新設する。そして、これらのイノベーションやDX技術を活かし、新たな収益ビジネスの開発を目指す。
また、アジャイル開発を積極的に活用し、経営課題の解決を下支えする「迅速・効率的なシステム基盤(API)」「AI活用等に適したデータ管理基盤」等のシステム開発体制の整備を推進する。
新中期経営計画では、以上の取組みを通じて、2030年のありたい姿「人生100年時代を迎え、生命保険事業を通じて、社会の課題解決に貢献する会社、お客様の“生きる”を支え続ける会社」の実現に向けた道筋を確かなものにしていく。
*新中期経営計画「ネクストA」において、「A」は朝日(Asahi)生命グループ、前中期経営計画「Advance」を意味しており、Advanceの取組成果を踏まえ、朝日生命グループがさらなる企業価値向上を図り、次の成長のステージに進むという思いを表している。