ソニー生命、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化に向けた取組み状況を報告
ソニー生命は、1979年の創業時より「合理的な生命保険と質の高いサービスを提供することによって、顧客の経済的保障と安定を図る」という基本使命のもと、「日本中のお客さまを一生涯お守りする」というビジョンの実現に向けて「お客さま本位の業務運営に係る方針」を定め、お客さま本位の業務運営を推進している。
2023年2月、生命保険協会において、各生命保険会社が引き続きお客さま一人ひとりに真摯に向き合い、社会的使命を果たし続けることを後押しするため、「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点が制定された。「着眼点」にはリスクに応じた管理態勢の整備を進めるにあたり対応・留意すべき6つの項目について、原理・原則としてのプリンシプルや各社の参考となる取組み例等を取りまとめたものが記載されている。
同社においても営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の高度化を実現し、より一層のお客さま本位の業務運営を推進する。そこで、このたびの「着眼点」の制定を踏まえて、今般、「着眼点」に記載の6つの項目に照らした「これまでの主な取組み」および「今後の取組みの方向性」を取りまとめた。
①コンプライアンス・リスク管理態勢
(理念の浸透に向けた取組み)
・生命保険会社や営業職員(以下、「ライフプランナー」という)としてありたい姿を「基本使命」、「経営の基本理念」および「ライフプランナー憲章」にて明文化している。また、「ソニー生命行動規範」において、ありたい姿の実現に向けて遵守すべき基本的な原則を示している。
・行動規範の位置付けや重要性を毎年代表取締役社長からのメッセージとして発信するとともに、ソニー生命行動規範研修を全社員に実施し、行動規範の理解・浸透を促している。
・同社では、社員一人ひとりの行動や判断基準に影響を及ぼすものこそ「組織風土・カルチャー」であると捉え、その醸成を経営の重点施策として位置付けている。
・「組織風土・カルチャー」に影響を与える仕組みや環境等に対する全社員の意識等を把握するためのカルチャーアンケートを実施することで、各種状況を定期的に確認している。
(統制策を遂行する組織態勢の構築)
・リスクに対する全体の管理とコントロールの強化を目的として、三線管理態勢を構築し、金銭不祥事故をはじめとしたコンプライアンス・リスクの未然防止や早期発見に取り組んでいる。
三線管理態勢に示す各線の役割は以下のとおり定義している。
第1線(営業拠点)・第1.5線(本社営業管理部門):日々の業務におけるリスクの特定・統制、業務方針の維持・改善
第2線(コンプライアンス・リスクの管理部門):第1線に対するリスク管理における指導および管理状況の監視・けん制・支援
第3線(監査部門):第1線・第1.5線・第2線の取組みに対する監査、リスク管理におけるPDCAサイクルの有効性検証
・各営業拠点にコンプライアンスオフィサー(以下、「CO」という)を配置し、主に営業管理職に対する指導・けん制状況のモニタリングを実施している。また、営業拠点の問題や課題等は、COからの報告等を通じて、本社でも状況を把握し、個別の対応や是正指導等を行っている。
②コンプライアンス・リスクの評価
(コンプライアンス・プログラムの策定)
・同社においては事業年度ごとに、コンプライアンスにかかるリスクをアセスメントしたうえで、当該リスクの低減に向けたコンプライアンス・プログラムを策定し、全社員に周知している。コンプライアンス・プログラムでは、全社横断的に管理すべき課題を抽出し、それらをコントロールするための具体策や効果検証方法を設定している。
・コンプライアンス・プログラムにて設定した具体策やその取組み結果に関しては、コンプライアンスを統括する社内委員会として設置したコンプライアンス委員会にて報告または審議を行う。
(各支社におけるリスクへの対応)
・各支社の運営に伴うリスクを明確化するために、三線管理態勢における第1線のリスクオーナーである支社長が主導して支社リスクアセスメントを実施するとともに、そこで明らかになったリスクへの対策を、支社コンプライアンス業務計画にて策定している。
③コンプライアンス・リスクに対するコントロールの整備・実施
(コンプライアンス・リスクの統制)
・不適正事象においては、不正を誘発する3つの要素(動機・機会・正当化=不正のトライアングル)が存在するが、特に個人間の金銭貸借は、人間関係の悪化やトラブルに発展するリスクが高く、不正のトライアングルのうち金銭を詐取する「動機」の発生を助長する。当該リスクを防止するために社員間やお客さまとの間における金銭貸借を社員就業規則等で禁止している。
・2017年9月以降、ライフプランナーによる現金および小切手の取扱を廃止しており、その旨を同社ホームページや手続画面・帳票等に表示する5ことで、ライフプランナーがお客さまより現金を授受する「機会」を縮減している。
④コンプライアンス・リスクのモニタリングおよび不適正事象の(予兆)把握時の対応
(不適正事象の予兆検知)
・三線管理態勢における第1線である営業拠点および本社営業推進部門ならびに第1.5線である本社営業管理部門が計画している各種施策のうち、保険募集管理に影響を与えるおそれがあるものについては、事前に第2線であるコンプライアンス・リスクの管理部門がレビューを実施している。
・お客さまから同社に寄せられた指摘は、保険募集上の禁止行為に該当するおそれのある不適切な取扱の検知や金銭不祥事故の再発防止に関するモニタリングにも活用している。
⑤コミュニケーション
(社内外のコミュニケーション)
・営業管理職を対象とした会議体で、経営陣をはじめとした本社役員からコンプライアンスの徹底に関す
るメッセージを発信し、意識醸成を図っている。
・営業管理職を対象に年2回開催する「コンプライアンス・リスク管理研修会」において、本社役員からコンプライアンスやリスク管理の重要性を説明するとともに、お客さま本位の業務運営の推進における課題や好取組事例の共有を図っている。
・お客さまをはじめとするステークホルダーに広く周知をすべきと判断した不適正事象については、同社ホームページ上でその内容や再発防止策等の公表を行っている。
・ライフプランナーの通報窓口として社内通報制度を整備しており、定期的に全社員向けへの制度周知および運用状況等の開示を行っている。社内通報制度においては社内窓口のみならず社外窓口への連絡も可能として、コンプライアンス違反行為の早期発見、被害の拡大防止および是正等に努めている。
・社内通報者への不利益な取扱を禁止する旨を「社内通報制度運用規程」に定めている。
⑥監査
(同社の内部監査部門について)
・三線管理態勢における第1線(営業拠点)・第1.5線(本社営業管理部門)、第2線(コンプライアンス等の管理部門)のコンプライアンス・リスクに関する態勢や取組みが適正かつ有効に構築・実施されているかについて検証している。
・データ分析ツールを活用した検証や各種指標の継続的なモニタリングを行うことで、内部監査の有効性・効率性・質の向上に努めている。
・保険募集にかかるリスク感度の高い保険募集管理経験者や他金融機関出身者を配置することで多様な視点や経験を交えた監査手法の構築に努めている。
(内部監査部門のコミュニケーション)
・支社の内部管理状況に関する報告会や、保険募集コンプライアンス等に関する報告または審議を行う委員会へ内部監査部門も参加することにより、検証結果や課題認識等の定期的な情報共有を第1.5線および第2線と行っている。