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第一生命、生物多様性保全を目的としたグリーンボンドに投資

第一生命は、Anglian Water Services Financing PLC(以下、「アングリアン水道会社」)が発行するグリーンボンドに約39億円投資した。本債券は、資金使途を生物多様性の保全に資するプロジェクトに限定した社債であり、発行に向けてアングリアン水道会社と同社で検討を進め、同社が発行額の全額を購入した。
アングリアン水道会社は英国に本拠を置き、上下水道の建設・運営管理を行う企業である。同社は、自然資本※1関連の事業を展開するからこそ自然環境の保護に向けて重要な役割を担っているとの考えのもと、事業活動による生態系へのマイナスの影響を上回る代替措置を行うことで全体の影響をプラスとすることを経営目標に掲げ、地域環境や生物多様性の保全などに積極的に取り組んでいる。
本債券によって調達された資金は、湿地を活用した天然の水処理施設整備プロジェクト(処理水を河川に排水する前に湿地を経由させ、生態系破壊の原因となる物質をろ過)や、河川の流れや水辺環境を整備し自然河川の特徴を復元させることで、在来生物の生息を促すプロジェクトなどに充てられる。
同社は本債券への投資を通じて、アングリアン水道会社の生物多様性保全に向けた取組みを資金面からサポートする。
自然資本は社会経済を支える重要な資本として認識されており、グローバルGDPの半分以上に相当する約44兆米ドル(約4,840兆円)の経済価値の創出が自然資本に依存していると推定されている。生物多様性は自然資本のなかでも重要な要素のひとつであるが、土地開発や環境汚染などの影響を受け、今後数十年間で約100万種の動植物が絶滅するリスクを有するなど、生物多様性の喪失は気候変動と同様に近年深刻化する環境問題と考えられている。
生物多様性の保全は持続可能な開発目標(SDGs)の一つにも掲げられており、今後開催予定の第15回生物多様性条約締約国会議(COP15)では、2030年に向けた生物多様性に関する国際目標の議論・採択が検討されている。また、2021年6月には金融機関や企業に自然資本に関する事業機会とリスクについての情報開示を求める「自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、TNFD)」が発足するなど、自然資本・生物多様性に対する企業・投資家の関心は世界的に高まっている。同社は、本債券の発行を契機に今後、生物多様性の保全に関する各種取組みが進展していくことや、それを目的とした債券発行が活性化することも期待している。
※ 山・森林・海・川・大気・土壌など自然を形成する要素や、生態系を構成する生物など
今後も引き続き、運用手法の高度化・多様化によって資産運用収益の向上を図るとともに、責任ある機関投資
家として持続可能な社会の形成に寄与すべく、ESG投資に積極的に取り組んでいく。
【本債券の概要】
発行体  Anglian Water Services Financing PLC(S&P格付:A、Moody’s格付:A3)
発行額  35百万米ドル(約39億円)
年限   5年

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