富国生命、2021・2022年度日本経済の見通しを改訂
富国生命は、2021・2022年度の経済見通しを改訂した。
【実質GDP成長率予測】
2021年度+3.5%(前回+3.9%)、2022年度+2.7%(前回+2.3%)
○4~6月期は3度目の緊急事態宣言が重石となるも、2四半期ぶりのプラス成長
2021年4~6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.3%(年率+1.3%)となった。個人消費は、3度目の緊急事態宣言発出が重石となったが、1~3月期の落ち込みからの反動もあって増加に転じた。輸出の伸びを上回る輸入の大幅増加で外需寄与度はマイナスとなったが、設備投資や住宅投資の増加が補う形で2四半期ぶりのプラス成長となった。
○感染拡大の影響で成長ペース加速時期は年度後半に後ずれ
2021年度の実質GDP成長率予測は前年比3.5%へと前回(5月)から下方修正する一方、2022年度は同2.7%へ上方修正した。緊急事態宣言解除を前提に7~9月期が高い成長率になると想定していたが、足元、感染力の高いデルタ株の感染が拡大する状況を踏まえ、成長ペース加速時期が年度後半に後ずれすると見込むためである。
7~9月期は、輸出や設備投資の増加が個人消費の低迷を補い、年率1%台半ばの成長になると予測する。4度目の緊急事態宣言発出や対象地域拡大を踏まえると、個人消費の回復には期待できないが、コロナ慣れ、自粛疲れもあって人流の減少は限定的となり、一段の落ち込みは避けられよう。世界経済は、ワクチン格差や感染状況により一部の新興国では回復が遅れるものの、欧米や中国を中心に持ち直しが続くとみられる。世界的な設備投資需要の回復などを背景に日本からの輸出は堅調さを維持し、企業収益の回復とともに国内の設備投資も増加を続けるといった製造業における好循環が維持されるだろう。
他方、ワクチン接種の順調な進展は好材料である。2021年度後半以降、ワクチン普及により対面型サービス業の制限が緩和に向かうとともに、コロナ禍で積み上がった貯蓄の一部が消費に回ると期待されることから、成長ペースが加速すると見込んでいる。
○デルタ株のまん延で強まる景気下振れリスク
感染力の高いデルタ株のまん延により、ワクチン接種で先行する欧米でも感染拡大がみられるなど、世界的に景気下振れリスクが強まっている。ワクチン普及の遅れや、ワクチン接種で獲得した抗体の持続性の問題、一層強力な変異株の出現などにより、強力な制限措置の再導入を強いられる国・地域が拡大すれば、世界経済が再び停滞する恐れがある。