富国生命、2025・2026年度日本経済の見通し(改訂)
富国生命は、2025・2026年度の経済見通しを改訂した。
【実質GDP成長率予測】2025年度+0.9%(前回+0.6%)、2026年度+0.7%(前回+0.7%)
○4~6月期は輸出や設備投資が堅調に推移し、5四半期連続のプラス成長
2025年4~6月期の実質GDP成長率は、輸出や設備投資が堅調に推移し、前期比+0.3%(年率+1.0%)と5四半期連続のプラスとなった。個人消費は、食料品などの価格高騰にもかかわらず、良好な雇用環境を背景に底堅く推移している。4~6月期の成長率が輸出の増加を主因に同社の前回予測を上回ったことに加え、堅調なIT関連などへの設備投資を踏まえて、2025年度の成長率見通しを上方修正した。
○日本経済は、引き続き緩やかに成長すると見込まれる
世界経済は、トランプ政権の関税政策による物価上昇を受けて個人消費の鈍化が見込まれる米国を中心に、緩やかに減速するだろう。
日本経済は、引き続き緩やかに成長すると見込まれる。個人消費は、食料価格の高騰の一服と緩やかな円高の進行などで物価上昇率が低下するとの見通しのもと、人手不足を背景に実質賃金の安定的な増加が実現していくため、持ち直しが続くと見込んでいる。設備投資は、ソフトウェアなどへの投資が活発化しており、機械への投資の先行指標となる受注額も上向いている。今後もAIの活用を含むデジタル化の推進や人出不足への対応に向けた投資を中心に増加が続くだろう。また、日米間の貿易合意の成立により、関税を巡る当面の不確実性が低下したことは、設備投資に対する支援材料である。輸出は、インバウンドが含まれるサービス輸出が堅調に推移するものの、関税引上げ分の販売価格への転嫁が徐々に進むことで需要が減退する米国向けの財輸出を中心に、伸び悩むと予測している。
○急速に円高が進行するリスク
本予測では日米の金融政策の方向性の違いから、緩やかな円高が続くと想定している。
しかし、米国における雇用環境の悪化などを受けた想定以上の利下げや、トランプ政権による為替水準への強い批判などがあれば、急速に円高が進行するリスクがある。その場合、日本においては物価上昇率の低下による個人消費へのプラスの影響を、輸出企業などの収益の圧迫や金融市場の混乱によるマイナスの影響が上回る可能性が高い。