日本郵政、日本郵便、かんぽ生命、一時払終身保険等の販売に係る認可取得前の勧誘について調査結果と再発防止策等を公表
日本郵政、日本郵便およびかんぽ生命は、昨年1月4日に販売を開始した一時払終身保険に関して、販売に係る保険業法上の認可を取得する前に日本郵便およびかんぽ生命の社員である生命保険募集人が勧誘行為を行った事案を確認し、本年3月にこれらを内容とする不祥事件届出をかんぽ生命から監督官庁に対して提出するとともにその旨を3月18日に公表した。
その後、本事案の実態をより正確に把握し、発生原因を深掘りして再発防止策を策定するため、一時払終身保険以外の過去の新商品も調査対象として拡大したうえで、原因を分析し再発防止策を策定するとともに、事案全体を踏まえた関係者の責任を明確化した。
調査結果および主な発生原因分析、再発防止策およびその実施状況等の概要は以下のとおりである。
また、上記3社に対する金融庁の報告徴求命令(2025年3月18日)および日本郵政、日本郵便に対する総務省の報告徴求命令(2025年3月19日)に基づき、5月19日、調査結果および再発防止策等を報告した。
日本郵政、日本郵便およびかんぽ生命では本事案の発生を厳粛に受け止め、各社の総力をあげて再発防止策の実効性を不断に検証しながら改革を継続し、お客さま本位のサービス提供が図られるよう、全力で取り組んでいく。
1.調査結果
商品販売に係る保険業法上の認可を取得する前に、販売開始後の申込みを前提として、商品概要の説明をするなどの勧誘行為を受けたお客さまの人数は以下のとおり。
なお、調査の対象範囲は、保険募集に関するシステム上の記録を行うこととなった2019年8月以降のデータ履歴を確認した結果となる。
・一時払終身保険(2024年1月4日販売開始)199名※
・学資保険の改定(2023年4月1日販売開始)479名
・その他の商品改定3名
(※)2025年3月18日に公表したお客さま167名に、同日以降の調査で新たに判明したお客さま32名を加えた人数である。
2.本事案の主な発生原因(項目のみ抜粋)
(1)法令等遵守の徹底に向けた取組みが不十分であったこと
(2)業務品質の確保に向けた取組みが不十分であったこと
(3)リスク認識力の強化に向けた取組みが不十分であったこと
3.再発防止策
主な再発防止策は以下のとおりである。
(1)法令等遵守の徹底に向けた取組み
今般の問題は、上記2(1)のとおり、保険募集における「勧誘行為」の定義を含めた法令等の理解が不十分であったことが主因であるため、本社において弁護士等の社外講師による継続的な研修を実施するなど、改めて全社的な再周知および教育を実施する。
また、法令等の理解が不十分であったことを踏まえ、新商品導入時のリスク審査を強化することで、同種事案の再発防止を図っていく。
(2)業務品質の確保に向けた取組み
上記2(2)の反省を踏まえ、今後、本社からフロントラインに対して指示を行う際には、その趣旨・背景の丁寧な解説を徹底することにより、業務品質の向上に取り組む。
このうち、特に重要な指示内容については、フロントライン向けの事前説明会を実施するなど、双方向のコミュニケーションを強化する。
また、フロントラインにおいては、管理者による募集人の活動管理の更なる改善に取り組むことで、業務品質の向上を図っていく。
(3)リスク認識力の強化に向けた取組み
上記2(3)の反省を踏まえ、本社から指示した内容に関し、フロントラインにおいてリスク事象が発生していないかという観点からの実態把握を強化する。
また、本社におけるリスク統制機能の強化を図るため、リスク・コンプライアンス部門の司令塔機能を有する部署の設置にかかる組織改編等を行った。
さらに、企業倫理や社会規範等も含めたコンダクトリスクマネジメントを浸透させるとともに、フロントラインにおいてリスク事象にかかる研修を実施していくことで、リスク認識力の強化を図る。
加えて、本社・支社(支店)からのモニタリング・フォローアップを強化することで、上記の各種取組みの着実な定着を図っていく。
(4)認可取得前の勧誘の防止に向けたその他の取組み
新商品の販売または商品改定にかかるフロントラインに対する周知等について、認可取得後の実施とすることにより、認可取得前の勧誘が発生しない態勢を整備する。
また、新商品の販売等に関して、認可取得前の段階でのお客さま向けの報道発表は実施しないこととする。
4.責任の明確化
本事案は、販売に係る保険業法上の認可を取得する前にお客さまへ勧誘を行っていたもので、適正履行の確保に不備があったものであり、日本郵便株式会社及び株式会社かんぽ生命保険に、それぞれ本事案に関する責任があると認識している。
今回の事態に至った責任を重く受け止め、各社における責任の所在及び度合いを勘案して、以下のとおり役員報酬の減額を行うとともに、本社・支社の責任者、郵便局の管理者及び募集人に対して処分を実施する。