第一生命ホールディングス、英国資産運用会社Capulaグループに出資
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第一生命ホールディングスは、債券裁定戦略1、クライシス・アルファ戦略2およびグローバル・マクロ戦略3に世界トップクラスの強みをもつ英国の有力オルタナティブ運用会社であるCapula Investment Management LLPおよびCapula Management Limited(以下、両社を合わせて「Capula」)に対して、約10.3%の追加出資(以下「本件出資」)を行うことを決定した。
同社の100%子会社である第一生命保険株式会社(以下「DL」)は既にCapulaの持分を約4.7%保有していることから、本件出資により同社およびDLの合計持分は約15%となり、同社からCapulaにボードメンバーを派遣することで、Capulaは同社の持分法適用会社となる予定である。
1.Capulaの概要
・Capulaは共同創業者であるYan Huo氏および浅井將雄氏により2005年に設立されたオルタナティブ資産運用会社であり、2024年末の運用資産残高(AUM)は318億米ドル(約4.8兆円)である。
・英国ロンドンに本社を置くほか、日本、米国、香港、シンガポールに拠点を展開、142名の投資プロを含む合計408名の役職員を有する。
・Capulaは債券裁定戦略と呼ばれる運用手法を得意としている。旗艦ファンドであるGlobal Relative Value Masterファンド(以下「GRV」)は債券裁定戦略としては世界最大の運用資産残高であり、2005年の設立以来、年平均8.29%のプラスリターン(シャープレシオ:2.47)を記録するなど業界屈指の運用実績を誇る。
・DLは2014年以降Capulaの複数ファンドに対して投資を行っているほか、Capula本体への出資(4.7%)やトレーニー派遣等の人的交流を通じて、相互理解を深めてきた。
1 債券裁定戦略は、債券市場における相対的な価格差に着目して収益機会を追求する運用戦略
2 クライシス・アルファ戦略は、危機時に収益の獲得を目指す戦略
3 グローバル・マクロ戦略は、世界の金融、経済情勢に関するマクロ的な分析に基づいて投資判断を行う戦略
2.本件出資の戦略的な意義
同社は、2030年度のグループ企業価値10兆円・利益目標6,000億円に向けて、キャピタル・ライトなアセットマネジメント事業領域におけるインオーガニックな成長機会を模索してきた。Capulaへの出資により、来年度以降50億円程度の持分利益(合計出資持分15%での試算)の取り込みが見込まれるほか、事業リスクの分散および共同商品開発を通じたシナジーなどの観点から、同社アセットマネジメント事業の更なる成長に貢献すると期待している。
(1)オルタナティブ分野の取組強化および投資スタイルの多様化
・近年のアセットマネジメント業界においては、伝統的アクティブからパッシブへの資金シフトに加え、伝統的運用資産からオルタナティブ資産への資金シフトが進展している。同社としても、クレジット領域に強みを有する米キャニオンパートナーズへの出資に続き、オルタナティブ市場の成長の取り込みや同社グループ貯蓄商品開発への活用に加え、オルタナティブ投資領域の中における投資スタイル(=事業リスク)の分散を推進していくことは重要であると考えている。
・Capulaの旗艦ファンドGRVは、市場リスクに依らない絶対収益を追求する投資戦略であり、株式や債券などの伝統的運用資産が持つ市場リスクや、景気動向によって生じる国・企業の信用リスクとは相関が低いという特徴を持つ。本件出資は、同社アセットマネジメント事業利益の安定成長と事業リスク分散の双方に貢献が期待される。
(2)共同商品開発等のシナジーの追求
・CapulaはGRVを筆頭に、グローバル債券運用やデリバティブを用いたヘッジ戦略においてグローバルレベルでトップクラスの卓越したノウハウを有している。
・Capulaが得意とする債券裁定やテールリスクヘッジ等の戦略は同社グループが得意とするクオンツ運用と親和性が高く、新商品開発等のシナジーが期待される。
3.今後の予定
2025年5月に出資完了予定