東京海上日動あんしん生命、金融庁へ報告徴求命令に対する報告書を提出
東京海上日動あんしん生命は、2025年8月6日に乗合代理店との適切な関係性の構築に向けた取組にかかる報告徴求命令を受領※し、9月8日、同命令に基づく金融庁への報告を行った。
※2025年8月6日同社ニュースリリース「金融庁による報告徴求命令の受領について」
https://www2.tmn-anshin.co.jp/download/1154/250806news.pdf
同社は、代理店を主要な販売チャネルとしており、お客様本位の生命保険事業を運営するためには、代理店との適切な関係性を構築し、募集品質を向上させることが不可欠である。そのために、代理店に対する教育・指導・管理を行うことが保険会社の責務ではあるが、同社は一部の乗合代理店との関係において、本来の責務を十分に果たせていない状況があった。この点について、同社には経営陣を含めた会社全体の意識や企業風土に大きな課題があったと、経営として重く受け止めている。
この課題認識に基づいて、同社は、創業以来大切にしてきたお客様本位の企業風土を再び確立するべく、そのための取組みにすでに着手している。今後も、お客様の最善利益を重視した業務運営を実現していくための社員の意識醸成を通じて、保険会社として乗合代理店を教育・指導・管理する役割と責任を果たし、乗合代理店との関係を抜本的に改めて、適切な関係性の構築を推進していく。
1.経営としての受け止め
生命保険事業は、国民生活の安定と安心を支える社会インフラとしての高い公共性と社会的使命を有している。同社は生命保険会社としての使命を担い、代理店等を通じてお客様一人ひとりのニーズに応じた安心をお届けする役割を果たしている。しかしながら、同社は、一部の乗合代理店との関係において、本来の使命を十分に果たすことができていなかった。
乗合代理店が大型化するにつれて同社の営業数字に与える影響が大きくなってきたことで、同社は、代理店への営業推進策の実施によって代理店からの評価を高めることを通じて、同社商品が推奨されることを重視するようになった。その結果、代理店からの評価を優先する企業風土が次第に醸成されたと認識している。
同社は、代理店に対する営業推進策の実施が乗合代理店の推奨商品に選定される理由となることを認識しながら、必ずしもお客様の意向に沿わない商品選択が行われ、お客様の最善利益から逸脱した推奨販売につながる可能性があることについて、十分な検討や判断ができていなかった。
2.今後の取組方針等
以上の課題認識を踏まえ、同社は、代理店への営業推進策の適切性を全般的に再検証し、見直しを行ってきた。
同社は、創業以来大切にしてきたお客様本位の企業風土を再び確立するために、以下の方針で取組みを実行し、その浸透・定着状況を把握して改善を図りながら進めていく。
(1)お客様本位の取組みの徹底
創業以来掲げてきた「お客様本位の生命保険事業」の理念に立ち返って、乗合代理店からの評価を優先していた営業推進を改め、生命保険本来の価値をお客様に届けていくための取組みをすでに開始している。具体的には、募集人の育成や商品ラインナップの拡充を通じて、お客様一人ひとりのニーズに応じた最適な提案を行うコンサルティング販売の強化を進めていく。
(2)営業数字偏重の企業風土の変革
これまで営業数字目標(収入保険料)を本社が各営業部に配分していたが、こうした本社主導の目標設定の手法を改め、各営業部が自主的に目標を設定する方式に変更した。
これにより、お客様本位の課題解決を軸としたプロセス重視の業務サイクルを徹底し、営業数字を過度に意識しない企業風土への変革を実施している。
(3)比較推奨を歪めるリスクのある営業推進策の廃止
2024年8月以降、「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」および「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」の論議内容も踏まえ、親会社である東京海上ホールディングス株式会社のガバナンスのもと、代理店への営業推進策の適切性を検証した。
その結果、募集人の採用支援等、乗合代理店の比較推奨販売を歪めるリスクのある営業推進策を2025年3月末までにすべて廃止済みである。また、代理店との関係強化のために保有している政策株式はすべて売却する。
(4)乗合代理店に対する教育・指導・管理の強化
一部の乗合代理店との関係において、代理店からの評価を意識するあまり、同社は代理店に対する教育・指導・管理という本来の役割を十分に果たすことができていなかった。今後は同社の内部管理体制および代理店に対する管理監督体制を強化し、代理店の規模やそれに基づく同社の営業数字への影響にかかわらず、適切な教育・指導・管理を徹底する。一方、それにもかかわらず比較推奨販売を歪める恐れのある行為について改善が見込めない代理店には、代理店手数料の削減、新規契約の販売停止または代理店委託契約の解除等、毅然とした対応を行う。同社はこうした姿勢を堅持し、代理店チャネルにおけるお客様本位の業務運営を率先して推進していく。