日本生命、ネイチャー・ファイナンス・アプローチを策定
日本生命は、企業のさまざまな事業や取り組みを自然の回復の観点で定量的に測定・評価する手法をまとめた「日本生命ネイチャー・ファイナンス・アプローチ(以下「同アプローチ」)」を策定した。
同社は、サステナビリティ経営の重点領域の一つである「地球環境」において、“豊かな地球を未来につなぐ”ことを重要課題と位置付けている。そうした中、自然については、行動の緊急性が極めて高い状況にありながら、その複雑性から社会全体での取り組みが気候変動に比べて思うようには進んでおらず、事業活動領域・資産運用領域の両面で取り組みを進めていく必要があると考えている。
こうした認識のもと、責任ある機関投資家として、自然の回復に向けた取り組みを一層促進していくための評価尺度が重要であると考え、今般、科学的見地に基づく実用的かつシンプルな指標を整理した。具体的には、自然の回復に影響の大きい陸域植物(森林等)を対象に、地球環境において人類が安心して暮らせる状態の限界を示す「プラネタリーバウンダリー※1」のうち、生物圏の臨界点を示すものとして、①生態系への影響の観点から、生物が生存・成長に利用するエネルギーである「NPP※2」、およびその人類による利用量である「HANPP※3」を、②生物種への影響の観点から、「対象生物種の個体数」を指標としている。
加えて、その他の環境・社会面で重大な負の影響を及ぼさないことを確認するDNSH※4原則の考え方も採用している。
※1 ストックホルム・レジリエンス・センター(Stockholm Resilience Centre)が2009年に提唱。「気候変動」「生物圏の一体性」「土地利用の変化」「淡水利用の変化」等、計9つのバウンダリーがある
※2 Net Primary Production
※3 Human Appropriation of Net Primary Production
※4 Do No Significant Harm