住友生命、資産運用を通じた社会・環境課題への取組みを推進
住友生命は、資産運用を通じた社会・環境課題への取組みを一層推進すべく、今般「スミセイ・サステナブルファイナンス・フレームワーク」および「社会・環境リスクの高いセクターに対する取組み方針」を策定するとともに、「インパクトコンソーシアム」に加盟した。今後、当該フレームワーク等を活用の上、社会・環境へのインパクトに係る取組みを推進していく。
1.現状の取組み
住友生命は、サステナブルな未来の実現に向けた取組みの一環として、責任投資を推進している。責任投資とは、サステナビリティを考慮した資産運用を指し、その目的は、中長期的に安定した運用収益を確保しつつ、社会・環境課題の解決にも取り組むことである。
住友生命は、責任投資に関する取組みのレベルアップを図ってきており、2023年12月に判明したPRI(責任投資原則)年次評価では、対象となる2項目でいずれも最高評価の5つ星を獲得した。
【2023年のPRI年次評価結果】
項目/概要/評価結果
◆ポリシー・ガバナンス・戦略/責任投資やスチュワードシップ活動における方針、ガバナンスおよび戦略等/★★★★★(5つ星)
◆報告内容の信頼性/報告データのレビュー、第三者保証等/★★★★★(5つ星)
一方で、地球温暖化対策の緊急性・重要性は益々増しているほか、人権や生物多様性など、社会・環境課題は山積している。そのため、責任投資活動では、社会・環境へのインパクトに係る取組み(①ポジティブ・インパクトの創出、②ネガティブ・インパクトの抑制、③その効果の可視化)が一層重要になっているものと認識している。
2.ポジティブ・インパクトの創出に向けた取組み
a.ESGテーマ型投融資の取組み
住友生命は、ポジティブ・インパクト創出の一例として、ESGテーマ型投融資(資金使途がSDGs達成に資する案件)に積極的に取り組んでおり、現中期経営計画期間の3か年累計目標として7,000億円を設定した。その内、気候変動対応のためのファイナンス目標4,000億円を設定し、2023年度はいずれも順調に進捗している。
特に温室効果ガスの多排出企業の脱炭素化への移行を後押しすべく、トランジションファイナンスに注力しており、例えば、国内で発行されたトランジションボンドについては、運用リターンも精査の上、発行実績のある全20発行体(2024年3月現在)に投資している。引き続き、株式・債券・融資等、資産横断的に取り組んでいく。
b.スミセイ・サステナブルファイナンス・フレームワーク策定
今般、住友生命は、更なるポジティブ・インパクト創出に向け、「スミセイ・サステナブルファイナンス・フレームワーク」を策定した。
本フレームワークは、企業がサステナビリティに関する取組みを推進するうえで必要となる資金需要に、ファイナンス(融資)の観点から応えるものである。なお、本フレームワークは、国際的なガイドライン等に整合するものであり、第三者意見(日本格付研究所)を取得している。
【本フレームワークの取組み内容※】
・グリーンローン:
環境改善効果が認められるグリーンプロジェクトに資金使途を限定したローン
・サステナビリティリンクローン :
サステナビリティに係る評価指標を設定し、同指標の達成状況に応じて、融資条件が変化する資金使途不特定型のローン
・トランジションローン:
脱炭素社会の実現に向けて、長期的な戦略に則った温室効果ガス削減の取組みを行っている企業・プロジェクトに対して実施するローン。移行戦略および資金使途のトランジション適格性を評価
3.ネガティブ・インパクトの抑制に向けた取組み
住友生命のネガティブ・インパクトの抑制手法としては、ネガティブ・スクリーニング(特定の資金使途等の投融資を禁止する手法)が挙げられ、これまで、非人道的兵器製造企業と石炭火力発電事業への投融資を禁止してきた。
しかしながら、気候変動対応では、昨年12月のCOP28で「化石燃料からの脱却」が合意され、また、対応すべき社会・環境課題は、人権や生物多様性など、年々広がりを見せている。こうした課題に包括的に対応すべく、今般、「社会・環境リスクの高いセクターに対する取組み方針」を策定した。今後、適宜見直しを行うとともに、その実践を通じて、ネガティブ・インパクトの抑制に努めていく。
【取組み概要】
◆方針/内容
見直し前:非人道的兵器製造企業と石炭火力発電事業への投融資を禁止
見直し後:今般「社会・環境リスクの高いセクターに対する取組み方針」を策定し、新たに核兵器製造企業等を追加した。
4.インパクトの可視化に向けた取組み
住友生命では、過去に実行したESGテーマ型投融資案件を対象に、社会・環境へのインパクトを定量的に測定し、2022年度以降、責任投資活動報告書にて開示している。測定に際しては、投融資先企業や事業のインパクト開示が欠かせないが、現状十分とは言えないため、今後は、主に実行額の大きい案件を対象にインパクト開示を働きかけていく。
5.インパクトコンソーシアムへの加盟
住友生命は、2022年4月にインパクト志向金融宣言に加盟し、同活動への積極的な参画を通じて、インパクト創出を図る投融資に係る取組みを進めてきた。
また、インパクト創出を図る投融資の拡大を目指し、投資家・金融機関、企業、自治体等が幅広く連携して協働・対話を行う場として「インパクトコンソーシアム」が設立されたことから、住友生命は2023年12月、同コンソーシアムに加盟している。今後、インパクト志向金融宣言および同コンソーシアムへの積極的な参画等を通じて、更なるインパクト創出に取り組んでいく。