第一生命、東京都中央区京橋における木造ハイブリッド構造の賃貸オフィスビル計画サステナブル建築物等先導事業に保険業界初の採択決定

第一生命は、清水建設株式会社の技術協力のもと計画している、木造ハイブリッド構造の賃貸オフィスビル（想定規模：地上12階・地下2階建、高さ約56m、延床面積約16,000m2）において、国土交通省の「令和4年度サステナブル建築物等先導事業（木造先導型）※1」に採択された。
本計画は、大通りの交差点に面した視認性を活かし、外部からでも「木」を感じられること、内部は耐火集成材や耐火木鋼梁により40m×17mの木質無柱空間を実現するなど、構造、防火、生産、施工、耐久性等の面での工夫が見られ、先導的な木造建築物として波及・普及効果が期待できることが評価され、採択に至った。保険業界における採択は初の事例となる。
具体的には、木を感じられる快適なオフィス空間を実現するため、「シミズハイウッド(R)※2」を活用し、梁や天井面を木質化していく。特に、鉄骨梁ロングスパンの木質化に対し、2時間耐火性能の耐火木鋼梁（ハイウッドビーム※3）を開発し、国内初の実用化をする。また、立地条件を活かした開放感のある窓廻りを実現するため、鉄骨の細柱と耐火集成材（スリム耐火ウッド梁※4）を組み合わせ、心地よい木質オフィス空間を提供する。
※1　再生産可能な循環資源である木材を大量に使用する大規模な木造建築物等の先導的な整備事例について、その具体の内容を広く国民に示し、木造建築物等に係る技術の進展に資するとともに普及啓発を図ることを目的とした、国土交通省の事業である。
※2　「シミズハイウッド(R)」とは清水建設が保有する、木材と鉄骨・コンクリートをニーズに応じて適材適所に組み合わせるハイブリッド技術である。
※3　「シミズハイウッド(R)」の一つで、鉄骨梁と木を組み合わせた技術である。
※4　「シミズハイウッド(R)」の一つで、構造体として柱・梁の芯材に木を利用した技術である。
1．本計画の特徴について
本計画は、日本橋・銀座をつなぐ中央通りと鍛冶橋通りが交差する視認性の高い立地にあり、施設利用者や歩行者に対し、木を感じられる空間を提供するために、主要構造部等に約1,000m3の木材を利用する予定である。
木材を利用することで、建設時のCO2排出量削減に加え、約710トン※5のCO2固定化を実現し、鉄骨造の標準建物に比べ約20％以上のCO2削減に寄与する計画となる。また、木材を内装材等に利用することで、施設利用者の心身面や生産性向上等の効果※6があると言われており、QOL※7向上や健康経営にも寄与する施設づくりを目指している。
※5　林野庁の「建築物に利用した木材にかかる炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」に基づく試算。
※6　ウッドチェンジ協議会。令和3年度「内装木質化した建物事例とその効果」より。
※7　“QualityOfLife”の略。物理的な豊かさだけでなく、精神面を含めた豊かさを意味する。
2．持続可能な社会の実現に向けたウッドサイクルへの取り組み持続可能な社会の実現に向けて、木材の活用を促進する動きが加速しており、森林資源を持続的に活用するため、木材の育林・伐採・再造林のサイクルをしっかりと構築することが重要となる。
第一生命と清水建設は、木材の活用だけでなく、植林・育林活動にも取り組んでいる。
【物件概要】
所在地　東京都中央区京橋二丁目4－12
主要用途　オフィス、店舗
規模　階数：地上12階・地下2階建、延床面積：約16,000m2
構造　木造ハイブリッド構造（木造＋鉄骨造）
建築主　第一生命保険株式会社
設計/施工予定者　清水建設株式会社/清水建設・日本建設共同企業体