富国生命、2018・2019年度経済見通しを改訂
富国生命は、2018・2019年度の経済見通しを改訂した。
【実質GDP成長率予測】
2018年度+0.9%(前回+1.0%)、2019年度+0.7%(前回+0.8%)
【4~6月期は2四半期ぶりのプラス成長】
2018年4~6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%、年率+1.9%と2四半期ぶりのプラス成長となった。個人消費が1~3月期の低迷から持ち直し高い伸びとなったことに加え、設備投資が高水準の企業収益を背景に引き続き堅調に推移するなど、内需の二本柱が成長率を押し上げた。一方、外需は、輸出がアジア向けを中心に小幅な伸びにとどまり、輸入の伸びを下回ったことから、同▲0.1ポイントと2四半期ぶりのマイナス寄与となった。
【7~9月期以降は緩やかな回復が続くも、下振れリスクは高まる】
個人消費は所得環境の改善が限られるなかで成長のけん引役としては力不足の状況が続く。7~9月期については酷暑や豪雨などの天候不順も下押し要因となろう。一方、大型減税が押上げ要因となる米国を中心に世界経済は総じて堅調に推移するとみられることから、輸出、設備投資といった企業部門主導での回復が続くとの見方は変わらない。しかし、米中貿易摩擦の深刻化とそれに伴う企業マインドなどへの悪影響が次第に企業活動の下押しとなろう。そのため、2018年度の実質GDP成長率は前年比+0.9%と前回予測から0.1ポイント下方修正している。貿易摩擦問題については、米中間の関税引上げにとどまる限りは日本経済への直接的な影響は軽微にとどまるとみているが、米国が自動車関税の引上げに踏み切った場合、景気腰折れのリスクが大きく高まろう。
【2019年度後半は停滞感が強まる】
2019年度は、世界経済の成長ペースが次第に鈍化するなか企業部門のけん引力が弱まっていくだろう。米国では、2019年後半頃から大型減税の押上げ効果が弱まることに加え、利上げによる金融引き締め効果も重石となる。中国は、政府が景気重視の政策へと方針転換しており景気急減速は避けられるものの、漸進的な構造改革の進展とともに成長ペースの緩やかな鈍化が続くだろう。こうしたなか、国内では消費税率10%への引上げが10月に予定されており、前回増税時より家計負担増が小さいことから個人消費の長期低迷は避けられるものの、年度後半は停滞感が強まるだろう。なお、2019年度の実質GDP成長率は前年比+0.7%と前回予測から0.1ポイント下方修正している。