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日本生命、出向者による不適切な手段での情報取得事案に係る金融庁への報告について

日本生命は、本年7月16日に公表した同社から銀行への出向者による不適切な手段での情報取得事案※1について、7月18日に金融庁より報告徴求命令を受領※2し、これまで全容の解明に向けた調査を進めてきた。9月12日、調査によって判明した事実関係、発生原因、再発防止策等について金融庁に報告した。
※1 「同社に関する一部報道について」https://www.nissay.co.jp/news/2025/pdf/20250716.pdf
※2 「金融庁による報告徴求命令の受領について」https://www.nissay.co.jp/news/2025/pdf/20250718.pdf
1.調査および調査結果の全体像
事案の全容解明に向けて、銀行等の代理店への出向者、ならびに出向元所属および管理組織の関係者へのヒアリングや質問票、メール等のフォレンジック調査、資料共有サーバーの確認等を実施した。この結果、以下の事実関係が判明した。
<同社から銀行等への出向者による不適切な手段での情報取得の状況>
対象代理店数:7代理店
件数:604件
情報の内容:銀行等の保険販売に係る業績や執行方針、行員の業績評価基準、他の生命保険会社の商品情報等
主な目的:銀行等に対して適切な支援を行い、ひいては窓販業績を拡大するために、銀行等が目指している方針や行員に求められていることなどを理解するため
発生時期:2019年5月から2025年2月
今般の調査によって判明した、不適切な手段によって情報を取得した出向者および情報を受領した銀行本部窓口担当者等の行為は、不正競争防止法における営業秘密保護の趣旨に照らして適切ではなかったものと考えている。
なお、出向者による不適切な手段での情報取得に関し、同社関係者による明示的な指示は認められなかった。また、現時点では顧客情報の取得および同社から同社グループ会社以外の第三者への共有は確認されていない。
2.銀行窓販支援を担当する出向者を派遣している銀行事案
(1)事案概要
2019年5月から2025年2月にかけて、同社から銀行への出向者が、銀行の生命保険販売推進や業績評価体系等に係る内部情報を上司等の許可を得ずに、私用スマートフォンのメッセージアプリや郵送等の手段によって持ち出し、同社の銀行本部窓口担当者と共有していた。
また、銀行の内部情報に係る画像データ等を受け取った銀行本部窓口担当者は、当該画像データ等を加工・転記、またはそのままの画像に逆流厳禁の文言を付すなどして資料を作成し、所属する金融法人部門の役職員等に広く共有していた。
出向者は、同社への情報提供によって、全国で銀行の各支店を担当している同社職員が、「銀行が目指している方針」および「銀行で保険募集を担う行員に求められていることや行員の知識や提案スキル」等を理解したうえで、各支店に対し、より一層寄り添った販売支援・サポートを行うことができるようになると認識していた。
こうした認識のもと、出向者には、銀行の本店・支店への一貫した質の高い対応を通じて、同社に対する出向先からの評価を向上させたいとの想いが根底にあったことを確認している。また、銀行が期待する販売支援・サポートの充実を行うことで、行員の同社商品への理解が深まることなどを通じた銀行の窓販業績の拡大、ひいては同社窓販業績の拡大、そして出向者自身の定性的な評価にも繋がるとの期待があったことを確認している。
(2)発生原因
本件事案が発生した主な原因は、
・銀行に対する販売支援の質の向上を目指す中、銀行の情報を収集することを重視していたことで、出向者・銀行本部窓口担当者ともに、自らの定性評価に繋がることも期待し、不適切な手段とは認識しながらも、容易に取得できる出向者からの情報に頼ってしまったこと
・第1.5線※3・第2線組織において、出向者による不適切な情報提供のリスクに対する想像力を欠き、結果として、不正競争防止法等の関連法令の教育・指導や早期検知ができなかったこと
であると考えている。
※3 いわゆる「第3線(スリーライン)ディフェンス」(金融機関の内部統制とリスク管理を、①事業部門(第1線)、②コンプライアンス・リスク管理部門(第2線)、③内部監査部門(第3線)の3つの役割に分類し、それぞれに責任と機能を分担させる考え方)における、①事業部門(第1線)内のコンプライアンス・リスク管理機能。
3.上記以外の代理店事案
銀行窓販支援を担当する出向者を派遣している銀行以外で、出向者を派遣し、かつ、生命保険販売を委託している代理店についても調査を実施した。その結果、複数の代理店において、出向者による不適切な手段での情報取得事案が判明している。事案の概要および発生原因は、概ね、銀行窓販支援を担当する出向者を派遣している銀行事案と同様と考えている。
4.再発防止策
営業部門への出向は行わないようにするとともに、銀行等からの情報収集に関する取扱ルールを策定・徹底する。また、金融法人部門および第2線・第3線組織において、コンプライアンス徹底のために態勢を強化することに加え、全役職員のコンプライアンス意識の醸成を図っていく。
・再発防止策
①出向制度の見直し
②代理店からの情報取得・取扱ルールの整備・徹底
③第1.5線機能の取組強化
④第2線組織による第1線・第1.5線組織への関与や牽制の強化
⑤第3線機能の強化
⑥再発防止策の徹底に向けた委員会の設立
⑦コンプライアンス意識の醸成

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