三井住友海上プライマリー生命、出向者による出向先の内部情報の持ち出し事案が判明
三井住友海上プライマリー生命は、金融機関代理店へ出向している社員の出向先での情報取扱いについて調査を実施した結果、出向先の許可を得ない不適切な手段により内部情報を持ち出していた事案が判明した。
同社は本事案を重く受け止め、再発防止に全力を尽くしていく。
1.事案の概要
同社から金融機関代理店へ出向している社員が、出向先の保険販売実績資料や業績評価基準に関する資料、他社の商品改定資料等の内部情報を出向先の許可を得ずに、同社の営業社員へメール等で送付していた。
2.調査概要・結果
他社の出向者による不適切な持ち出し事案の発生を受け、同社でもメールログのデジタルフォレンジック調査やサーバー内ファイル確認、出向者および出向元である同社の営業社員や管理職へのヒアリング、キャビネットおよび個人デスクの現物調査を実施した(調査期間:2020年9月~2025年8月)。
その結果、不適切な手段による内部情報の持ち出しについて、以下の事実が判明した。
■該当代理店数:9代理店(いずれも金融機関代理店)
■件数:92件
■内部情報の内容:
・保険販売実績資料
・業績評価基準に関する資料
・他社商品改定資料等
■持出経路:資料をデータ化(スキャン、私有スマートフォンで撮影)し、出向者自身の会社メールを経由して同社営業社員へメールで送付
■主な目的:同社の営業社員が金融機関代理店の方針や、保険募集販売を担う行員に求められる役割等を深く理解し、販売実績等を把握のうえ、販売促進・支援施策の検討を行うため
■情報の利用:代理店支援策や営業施策等の検討にあたっての予備知識として利用
■発生期間:2021年4月~2024年8月
出向先の許可を得ない不適切な手段で情報を持ち出すことについて、組織的な指示は認められず、取得した情報の同社内での二次利用や同社以外の第三者への共有も確認されていない。また、取得した情報には顧客情報は含まれていない。
なお、調査内容・結果を該当代理店に確認したが、ただちに不正競争防止法に抵触するとの指摘はなかった。
3.発生原因
前述の調査の結果を踏まえ、以下の通り発生原因を分析した。
(1)マーケットシェアを意識した営業活動
・同社はこれまで、マーケットシェアを意識した営業活動に取り組み、営業部門(第1線)においては、営業担同社員が代理店から情報を聴取・収集し、それを営業活動に活かすことで代理店における同社のプレゼンス向上に努めてきた。
・こうした背景の中、出向者が出向先代理店の情報を入手しやすい立場にあり、代理店を担当する社員が安易に情報収集を求めたことにより、出向者に「情報を取得しなければならない」というプレッシャーを感じさせる環境が醸成されていたものと考えている。
(2)教育・指導の不足
・金融機関窓販は、多くの保険会社が競合し、特に資産形成型生命保険は商品開発・改定の頻度も高く、販売実績が変動しやすい競争環境にある。このため、出向者および営業部門は迅速に多くの情報を収集し営業活動に活かすことが、代理店および同社の役に立つことだと考えていた。
・しかし、出向先の内部情報等の適切な取扱いや背景となる法令等に関する教育・指導が不十分であったと認識している。その結果、出向者は出向先の情報取扱いの重要性を十分に理解せず、「代理店や同社に貢献したい」という思いや、代理店を担当する同社社員からの依頼、あるいは自己評価の向上への期待などから、不適切な方法で情報収集に至ったと考えている。
(3)情報受領者等のコンプライアンス意識の不足
・出向者から情報を受領していた担同社員等は、教育・指導が不十分であったため、その情報が不適切な方法で取得されたのではないかと疑う意識を十分に持てなかったと考えている。
(4)第2線、第3線による牽制の不十分さ
・コンプライアンス部(第2線)は、代理店への出向者派遣に伴うリスクの洗い出しや、代理店を取り巻く環境変化等を踏まえたリスクの検知が十分ではなく、出向者による不適切な情報持ち出しを未然に防止することができなかったと考えている。
・監査部(第3線)は、第2線によるリスク検知の不足に気付けず、情報管理に関する報告を問題なしと評価していた。また、営業部門を対象にした内部監査においては、出向者が孤立していないかといったコミュニケーションの観点の検証は行っていたが、代理店内部資料の持ち出しについては確認を行わず、防止することができなかったと考えている。
4.再発防止策
発生原因を踏まえ、以下の通り再発防止策を実施する。
(1)出向制度の見直し
・今後、原則として保険代理店への出向は行わず、現出向者は2026年3月末までにすべて帰任させる予定である。
(2)営業活動の見直し
・マーケットシェアの維持・拡大が出向者にとって情報収集のプレッシャーとならないよう、出向者の役割を改めて営業社員に周知し、第1線の意識改革を進め、代理店情報の収集に対する期待を抑制した(2025年10月)。
・マーケットシェアによらない営業活動を行うよう、営業方針を見直す(2026年4月)。
(3)代理店からの情報取得・取扱いルールの整備・徹底
・「会社情報管理規程」を新たに制定し、代理店情報の取扱いを含む会社情報の管理体制を強化した。また、出向者および営業社員を対象に、代理店情報の取扱いに関する留意点を含む情報管理研修を実施した(2025年11月)。
・全社員に対し「会社情報管理規程」にて明確化した会社情報および代理店等の他社情報の取扱いルールについて研修を実施し、周知徹底を図った(2025年12月)。
(4)第2線による第1線への関与、牽制の強化
・コンプライアンス部の体制強化を図り、リスク検知能力の向上に努めるとともに、営業部門における活動実態やリスク状況の把握に向け、新たに営業社員へのヒアリングを実施する。
・毎年度、一定数の営業社員と直接対話することで営業活動の実態を把握し、リスクの予兆を検知した場合には速やかに牽制し、リスク事象の未然防止を図る(2026年1月~)。
(5)第3線の機能強化
・監査部のリスク検知能力強化のための研修等を実施している(2026年1月~)。
・再発防止策が有効に機能しているか、実効性を重視した検証を行う。
・営業部門監査実施にあたっては、営業社員へのヒアリングやアンケート等を通じて、情報管理に関する理解の浸透度などについて検証を行う。
(6)コンプライアンス意識の醸成
・情報取扱いに関するルールの周知徹底に加え、コンプライアンス意識を高める研修や関連情報の継続的な発信を行う(2025年12月~)。
5.役員報酬の一部自主返納
本事案を生じさせたことを重く受け止め、以下のとおり報酬の一部を自主返納する。
藏田順代表取締役社長社長執行役員 報酬月額の10%×1か月分
高樋毅取締役専務執行役員(営業統括) 報酬月額の5%×1か月分
中里至州専務執行役員(営業副統括) 報酬月額の5%×1か月分
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