生保協会、「郵政民営化法等の一部を改正する法律」成立について
生保協会は、郵政民営化に関して、かんぽ生命と民間生命保険会社の共存共栄による健全な生命保険市場の発展を実現する観点から、日本郵政株式会社(以下、日本郵政)が保有するかんぽ生命株式の完全売却による「公正な競争条件の確保」、日本郵政グループと民間生命保険会社が双方の強み・特徴を認識し適切に補完し合うこと等を郵政民営化のあるべき姿として提示してきた。
6月19日、「郵政民営化法等の一部を改正する法律(以下、改正法)」が成立したが、改正法の成立を踏まえた生保協会の考え方について表明した。
1.日本郵政によるかんぽ生命株式の保有義務について
・改正法では、日本郵政に対し、株式会社ゆうちょ銀行(以下、ゆうちょ銀行)・かんぽ生命両社の株式の3分の1超の保有を「当分の間」義務付ける規定が設けられている。当該規定については、政府が、郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証(いわゆる3年ごと検証)を踏まえ、株式の全部を処分してもユニバーサルサービスの責務の履行が確保されるかについて検討し、見直すこととされている。
・一般的に、政府出資・関与は、政府の信用力を背景にした競争上の優位性をもたらすことから、政府が出資を行なう日本郵政によるかんぽ生命株式の保有は、民間保険市場の健全な競争を阻害するおそれがある。また、日本郵政に対し、かんぽ生命株式の保有義務を設けることにより、支配株主と少数株主との間で利益相反の懸念等がある「親子上場」の状態が固定化することとなる。
・生保協会としては、本改正後も、株式完全売却を目指すという郵政民営化の基本方針は変わらないものと認識している。日本郵政によるかんぽ生命株式の保有が「当分の間」義務付けられることとなるが、引き続き、民間生命保険会社との「公正な競争条件の確保」の実現に向け、株式完全売却に向けた取組みについて、郵政民営化の進捗に応じた道筋を具体的に示すなど、郵政民営化法の基本方針に関する説明責任を果たすとともに、着実にこれが実行されることを要望。
・なお、わが国の生命保険のユニバーサルサービスはすでに民間生命保険会社の取組みで実現されていると考えている。今後の検討の際には、日本郵政及び日本郵便株式会社に生命保険のユニバーサルサービスを義務付ける必要があるか、改めて十分に検討することを要望している。
2.かんぽ生命の上乗せ規制の在り方の検討について
・改正法では、株式完全売却までの移行期間中におけるゆうちょ銀行及びかんぽ生命の業務に関する規制(いわゆる「上乗せ規制」)の在り方について、政府が、郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証(いわゆる3年ごと検証)を踏まえ、検討することとする規定が設けられている。
・生保協会としては、「上乗せ規制」は、移行期間における他の民間生命保険会社との適正な競争関係および利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれを排除するために設けられたものと認識しており、株式完全売却を通じた「公正な競争条件の確保」および保険契約に係る引受・支払等の「適切な態勢整備」が実現されない限り、限度額の引上げや業務範囲の拡大等の「上乗せ規制」の緩和・撤廃は、到底受け入れることはできない。
また、今回の法改正により、政府が日本郵政と日本郵便の合併について積極的に検討することとされているが、持株会社が事業会社を兼ねることを認めると、持株会社の事業リスクが金融業務に悪影響を及ぼすおそれがあると同時に、持株会社の事業のために子会社である金融機関の信用を利用する(いわゆる機関銀行化等が生ずる)リスクがあり、この点については、過去の郵政民営化委員会の意見においても指摘されている。
以上のとおり、生保協会として、今回の改正法は、間接的な政府出資を当分の間残しつつ、株式完全売却までの移行期間中におけるゆうちょ銀行及びかんぽ生命に関する規制(いわゆる「上乗せ規制」)のあり方を検討する規定が設けられ、「公正な競争条件の確保」の実現に及ぼす影響を懸念している。
また、今後の郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証(いわゆる3年ごと検証)においては、間接的な政府出資が当分の間残ることによる、民間生命保険会社との競争関係への影響も含め、十分に検討するとともに、検討結果が市場に与える影響の見通し等についても開示するなど、公正性・透明性ある運営を確保することを強く要望している。
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