メディケア生命、Finatextとナウキャスト、メディケア生命にて生成AIを活用した給付金支払査定業務の実証実験(PoC)を実施
メディケア生命、株式会社Finatext(以下「Finatext」)、および株式会社ナウキャスト(以下「ナウキャスト」)は、生成AIを活用した給付金支払査定業務の実証実験を実施した。
■実証実験の背景
生命保険業界では、保険契約件数および給付金支払件数の増加に伴い、支払査定業務の負荷が年々高まっている。査定業務は、約款の解釈、医療知識、過去の査定事例を総合した専門的判断を要し、人材の育成には長い期間を必要とする。
メディケア生命は、こうした業界共通の課題に対し、生成AI技術の活用による査定業務の変革を模索してきた。支払査定は、非定型な書類の読み取りから約款に基づく判断までを一貫して求められる専門性の高い業務であり、近年の生成AI・マルチモーダルAIの技術進展により、従来は自動化が困難であった領域に適用できる可能性が生まれている。
こうした背景のもと、メディケア生命とFinatext、ナウキャストの3社は、生成AIを活用した給付金支払査定業務の実証実験(PoC)を2025年9月より開始した(参考:2025年9月8日プレスリリース「Finatextとナウキャスト、メディケア生命にて生成AIを活用した給付金支払査定業務の実証実験を開始」)
■実証実験の概要
本PoCは、2025年9月~2026年2月の期間にわたり、以下の2フェーズで実施した。Phase2では、実際の査定業務で頻出する代表的なケースのうち、特に専門的な判断を要する難易度の高いものを対象に、「請求書類の読み取り」から「支払可否判断・給付金額の算出」までの一連の査定処理をAIに実行させ、精度・安定性・業務への組み込み可能性を検証した。
・Phase1(2025年9月):業務適用可能性の初期検証(小規模プロトタイプ、定性評価)
・Phase2(2025年12月~2026年2月):投資対効果の定量的検証(精度検証・業務フロー整備・出力イメージ作成)
また、Phase2では、以下の技術的アプローチを採用した。
・AgenticRAG(自律的な情報探索):AIエージェントが約款・マニュアル等の必要情報を自律的に探索・参照する仕組みを構築
・長期記憶の活用:過去の査定事例をAIが要約・記録し、類似ケースの査定時に活用
・マルチモーダルモデルの最適化:画像・図表・テキストなど書類の種類やタスクの特性に応じて最適なAIモデルを使い分ける構成を採用
■実証実験の結果
◯AI査定精度
専門的な判断を要する難易度の高いケースを含む検証において、AIの査定正答率は90%以上を記録。AgenticRAGによる自律的な情報探索と、長期記憶による過去事例の活用により、同一条件での繰り返し検証においてもばらつきは生じず、出力の安定性と精度の継続的な向上を確認した。
引き続きの精度改善により、さらなる正答率の向上が見込まれる。
◯書類読み取り(AI-OCR)精度
診断書・診療明細書・領収書・請求書類などの画像を対象としたAI-OCR検証では、マルチモーダルモデルの最適化により、約90%の精度で査定に必要な情報の抽出に成功した。
読み取りが困難だった箇所は、印鑑・マスキング等で文字が隠れている部分や、記号・囲み文字などの表記に限られており、通常の文字・数字に対しては手書きを含め100%に近い精度を実現した。
■想定される導入効果
本PoCの検証結果をもとに、支払査定業務への生成AI導入による改善効果を以下のとおり試算している。
・入力作業工数:約1/3に削減(AI-OCRによる請求書類の自動読み取り・データ入力)
・査定工数:担当者による査定案件で約40%削減(AIによる事前査定・確認ポイントの抽出)
また、定量的な工数削減に加え、以下の定性的な効果も見込んでいる。
[査定者の早期育成]
・熟練者の判断プロセスをAIが再現することで、経験の浅い担当者でも難易度の高い支払査定業務を高品質に遂行できるようになる
・AIが査定根拠や参照すべき約款条項を提示することで、新人査定者の早期戦力化を支援
■今後の方針
本PoCの成果を踏まえ、引き続き生成AIの支払査定業務への導入に関する検討を行っていく。
対象業務の拡大や運用体制の整備を通じ、高い査定品質を維持しつつ業務の効率化を目指すとともに、保険金支払のさらなる迅速化によるお客さまへのサービス向上に取り組んでいく。
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