住友生命、Vitalityによる長期的な歩数増加結果に関する国際論文を『Preventive Medicine』に発表
住友生命は、株式会社PREVENT(代表取締役萩原悠太、以下「PREVENT」)との共同研究を通じて執筆したVitality加入者の長期的な歩数増加結果に関する論文を「Preventive Medicine」※に投稿し、受理された。
※ 予防医学分野で権威のある国際誌の一つ。採択率は7%だった。
1.論文概要
■論文名
・Ongoing incentives’36-month effect on physical activity in a Japanese insurance-based health-promotion program
(日本の保険を基盤とした、健康促進プログラムによる継続的なインセンティブが、36か月間の身体活動量へ与える影響)
■ポイント
・この研究は、Vitality健康プログラムの価値を裏付けるとともに他の健康増進プログラムとの差別化の根拠として活用されることが期待される。
■目的
・健康増進型保険“住友生命「Vitality」”の加入者を対象に、継続的なインセンティブが身体活動量に及ぼす影響を縦断的に評価することを目的とした。
■方法
・2021年1月から6月の間にVitality健康プログラムを利用開始し、3年間継続した加入者の36カ月間の歩数傾向を分析した。
・一般化線形混合モデル(Generalizedlinear mixed model:GLMM)※2を使用し、身体活動量に対する継続的インセンティブの長期的効果を評価した。
※2 統計モデルの一つで、個人差やグループ間の違いを考慮することができるモデル。
■掲載誌
・Preventive Medicine
■著者
・金居督之a、小野里尚紀b、藤澤陽介b、濱谷尚志b、立山翔b、三木貴弘a、戸田拓弥a、菅原勉a,b、萩原悠太aaPREVENT、b住友生命
■論文掲載先
https://doi.org/10.1016/j.ypmed.2025.108327
2.研究結果
対象者全体の経過月数ごとの一日当たりの平均歩数を集計したところ、1年目に歩数が顕著に増加し、その後も期間を通じて上昇傾向が続いた。そして、特に3年目で平均歩数が多くなることが分かった。
1、2、3年目ごとに、一日当たりの平均歩数を取得したところ、8,000歩、10,000歩、12,000歩といったVitalityポイント獲得の基準となる歩数を達成する日数の割合が年々増加しており、歩行習慣がこれらの目標値に向かって定着していく様子が確認された。
詳細は以下の通りである。
・8,000歩以上の日数の割合は、1年目52.7%、2年目61.0%、3年目62.3%となった。
・10,000歩以上の日数の割合は、1年目の31.8%から2年目には39.0%、3年目には39.9%
に増加した。
・12,000歩以上の日数の割合は、15.9%から20.1%、さらに20.4%に増加した。
統計モデルを使用し、経過月数ごとに平均歩数が増加しているかどうか検証したところ、以下の通り、一日あたりの平均歩数が経過月数ごとに有意に増加したことが示された。
<表1.モデルにより算出された、一日当たりの平均歩数>
経過月数:一日当たりの平均歩数/95%信頼区間※4
1:7,239.7/(7,213.4,7,266.0)
12:9,054.9/(9,023.7,9,086.2)
24:9,350.1/(9,318.4,9,381.8)
36:9,392.7/(9,361.1,9,424.3)
※3 無造作抽出を繰り返し行い、95%信頼区間を計算した際に、100回に95回くらいはその範囲内に真の平均値を含んでいる範囲のこと。
a.結論
Vitality健康プログラムを通じた継続的なインセンティブの提供※5,6は、36か月にわたって身体活動レベルを有意に増加させ、インセンティブによる介入の長期的有効性を実証した。この結果は、インセンティブを活用した取組みが、運動不足の解消や生活習慣病の予防に有効である可能性を示している。
※4 Vitalityでは各種特典(リワード)を提供している。
※5 Vitality加入者の保険料はステータスに応じて変動する。
3.今後の方針
2025年度より、スミセイWX(ウェルビーイングトランスフォーメーション)本部に、データ分析・可視化によってウェルビーイング価値を創造する「データサイエンスオフィサー」を新設し、データ駆動型のアプローチを強化した、より効果的な健康増進施策を展開する。
住友生命は、これらの施策を通じて、お客さまの健康増進をサポートし、社会全体のウェルビーイング向上に寄与していく。
4.PREVENTについて
PREVENTは、2016年に名古屋大学発のスタートアップ企業として創業、生活習慣病の重症化予防を中心に科学的なエビデンスに基づく事業を展開してきた。
また、大学や医療機関との共同研究も積極的に行い、その研究成果を学術誌に投稿するなど、学術的な活動にも取り組んでいる。
2023年12月の住友生命グループへのグループイン以降、健康保険組合向け事業に加え、企業の健康経営や人的資本経営の推進に資する事業等、事業領域の拡大を進めている。
住友生命とPREVENTは、本プロジェクトを通じて、健康増進型保険“住友生命「Vitality」”会員等に対する適切な情報提供等のサービスの拡充や、健康関連の新サービスの開発を目指す。