記者のつぶやき「『全損祭り』終焉も、生命保険ニーズは変わらない」

本紙・生保版2月25日号で既報のとおり、2月13日に国税庁から法人契約の税務見直し方針が伝えられ、その後、全社がほぼ売り止めとし、改正案の具体的な内容に注目が集まっている。
とりわけ最大の注目点は、既契約に適用されるかどうかだと思うが、これは改正案が確定・公表されるまでは未定というしかない。
これからのスケジュールは、改正案の決定・公示→パブリックコメント→結果の公示→通達発遣となるのだろうが、逓増定期保険やがん終身保険の時の状況だと、パブリックコメントに1か月、その後、意見結果の公表まで1か月かかる。今回も同様であれば、この間で2か月を要することになる。
それまでは売り止めが続くことになるので、法人マーケットを主とする会社は、開店休業状態が続く。決着までの期間が長引けば、経営にも大きな影響を与えることにもなる。
まずは、一日でも早く改正案の概要が業界に示されることだと思うが、2月から3月にかけて実施されていた生保各社への販売商品に関するアンケート調査は、調査項目等が多岐にわたる詳細なものであった。この結果を精査し改正案の策定となると、思ったよりも時間がかかるかもしれない。
いずれにしても、改定通達が発遣されれば、全額損金で解約返戻率が80~90%という生命保険商品はなくなる。ここ数年間続いた「全損祭り」は終焉となる。
しかし、法人向けの生命保険商品がなくなるわけではない。役員退職金準備、事業保障・承継対策、福利厚生への対応としての法人契約の生命保険のニーズは変わらない。また、平成30年度税制改正により創設された事業承継税制の特例措置を踏まえて大きく動き出している中小企業の事業承継、今年から施行となっていく相続法の改正等をきっかけとして相続・事業承継対策の実行あるいは見直しが行われることになる。
税金面だけではなく、相続・事業承継時に生まれる課題を解決する手段として生命保険が有効であることは変わらない。(S)

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