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JA共済連、令和6年度決算を発表

JA共済連は、7月30日、通常総代会を開催し、令和6年度決算が承認された。
1.令和6年度主要実施施策の概要
令和6年度は、「令和4年度から6年度JA共済3か年計画」の最終年度として、同計画の基本方針をふまえて策定した令和6年度事業計画に基づき、次のことに取り組んだ。
(1)全契約者・組合員への“寄り添う”活動の展開を通じた保障充足
全契約者・組合員への“寄り添う”活動を実践するため、支店一体となった職場活性化・チーム作り(協働体制)に向けた実施手順を整理するとともに、職場活性化研修のインストラクターの育成を行うなど、JAへの支援体制の拡充に取り組んだ。
また、誕生日を契機とするアンケートメールから得られた回答情報等、約10万件の情報提供によるLAの活動支援など、デジタル接点の活用拡大を通じ、JAにおける活動機会の創出に取り組んだ。
保障・サービスの一体的な提供に向けては、公的保険を踏まえた保障提案を可能とするライフプランシミュレーターのLablet’sへの展開、地域の災害リスクや防災情報の提供を目的とした「防災ハンドブック」の配布、自動車共済における「レッカー・ロード費用保障条項」の新設等を実施した。
(2)組合員・利用者の信頼と期待に応えるための態勢づくり
①「組合員・利用者本位の業務運営」の浸透・定着に向けた環境整備
②推進者の育成・支援の強化と態勢整備
③“共済事業体制総点検運動”の更なる実践・促進
④利便性向上・事務負荷軽減に向けた取組強化
(3)社会的責任を果すための信頼性・健全性の強化
不祥事件の未然防止・撲滅に向けて、「JA共済コンプライアンス・リスク管理方針」の変更や「共済事業の共同実施に関する契約書」の再締結を行うとともに、JAの1線部署(事業部門)が2線部署(管理部門)・3線部署(内部監査部門)と連携してJA共済コンプライアンス点検を可能とするため、中央会と連携した動画資材の提供等により、JAにおける3線管理の強化支援に取り組んだ。
また、社会課題解決等への取組みとしては、農業振興・地域活性化に向けた令和7年度の活動を展開するための準備を行うとともに、投融資先企業への温室効果ガス排出削減の要請等、ESG投資の強化・拡大に取り組んだ。
2.事業成績
(1)新契約高
生命総合共済(生命・医療系・介護・認知症・生活障害・特定重度疾病・年金共済合計)は、件数89万3千件(対前年度比84.7%)、保障共済金額2兆2,161億円(同91.4%)となった。
また、建物更生共済は、件数60万3千件(同98.4%)、保障共済金額8兆9,772億円(同99.4%)となった。
その結果、生命総合共済と建物更生共済の合計は、保障共済金額11兆 1,934 億円(同97.7%)となった。
自動車共済は、件数808万6千件(同99.9%)、共済掛金(連合会が収納した共済掛金)2,666億円(同100.8%)となった。
(2)保有契約高
生命総合共済・建物更生共済合計の保有契約高(保障共済金額)は、210兆4,012億円(対前年度比97.0%)となった。
なお、解約・失効率は、生命総合共済2.46%(前年度2.73%)、建物更生共済1.73%(同2.04%)となった。
(3)共済金支払実績
共済金の支払いについては、事故共済金が1兆2,172億円(対前年度比103.5%)、満期共済金が2兆3,302億円(同94.4%)となった。
その結果、総額で3兆5,475億円(同97.3%)を支払い、組合員・利用者の生活保障の一助となった。
3.財産及び損益等の概要
(1)財産及び損益の概要
総資産は、57兆4,189億円(対前年度比98.2%)となり、うち運用資産は55兆3,267億円(同97.8%)となった。また、将来の共済金等の支払いに備えて積み立てている責任準備金は49兆5,065億円(同99.1%)となった。
損益の状況は、直接事業収益が4兆611億円(同99.2%)、財産運用収益が1兆399億円(同83.9%)となった。一方、直接事業費用は4兆9,284億円(同103.0%)、財産運用費用は4,200億円(同67.5%)となった。この結果、経常利益は1,002億円(同179.6%)となり、当期剰余金は1,373億円(同284.0%)となった。
(2)令和6年度決算の特徴について
令和6年度は、建物更生共済や自動車共済の事故共済金が増加した一方で、国内金利の上昇などにより利息配当金収入が増加したことから、基礎利益は前年度と同水準の4,813億円となった。
また、将来にわたる健全性の確保に向けて、責任準備金の特別積立ておよび諸準備金の積立てなどを実施した。
①健全性の確保について
ア 将来の利差収支改善への対応
将来の予定利息額の負担軽減に向けて、生命総合共済の責任準備金の特別積立てを実施するとともに、将来の責任準備金の特別積立てのため、異常危険準備金の積立てを実施した。
イ 価格変動リスクへの対応
将来のインカム収益引上げを目的とした債券入替えに伴う費用について、価格変動準備金の取崩しにより対応するとともに、今後の金利上昇局面における債券入替費用や運用環境の急激な変化に備えるため、価格変動準備金の積立てを実施した。
ウ 巨大災害リスクへの対応
異常危険準備金の積立ての実施および海外再保険等によるリスク移転により、巨大災害リスクに対する支払担保力を確保した。
(3)主な経営指標
①支払余力(ソルベンシー・マージン)比率
支払余力(ソルベンシー・マージン)比率は、前年度から65.5ポイント減少の1,014.3%となった。
②基礎利益
基礎利益は、前年度と同水準の4,813億円となった。
③実質純資産額
実質純資産額は、前年度から3兆6,209億円減少の10兆2,896億円となった。

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