明治安田生命、グループ会社の元社員による不正行為が発覚
明治安田生命のグループ会社である、明治安田システム・テクノロジー株式会社(以下、MYテクノ社)の元社員による水増し発注を通じた委託費の私的流用が発覚した。
本件については、監督官庁へ報告するとともに、MYテクノ社において当該者を既に懲戒解雇している。
また、明治安田生命は、元社員を詐欺罪で刑事告訴することに加え、今後、元社員に損害賠償を請求する予定である。
1.事案の概要
本件は、MYテクノ社の元社員が同社のシステムの保守・運用等にかかる業務委託に関して水増し発注を行ない、委託費の一部を私的に流用し、明治安田生命に損害を与えていたものである。今般、元社員の自認ならびに客観的情報に基づき、同社がこれまでに事実認定した本事案の概要は以下のとおりである。
なお、元社員が関与したその他の業務委託契約を含めて、MYテクノ社がこれまでに受発注したすべての契約を対象とした余件調査を完了しているが、本件以外に不適切な業務委託契約はなかった。
元社員属性 54歳男性(懲戒解雇時)※2025年6月12日、MYテクノ社において懲戒解雇済
行為期間 2013年9月から2025年2月
被害金額 約1億8,777万円
2.発生原因・再発防止策
(1)発生原因
本件が発生した主因は、MYテクノ社および同社において、システム保守・運用等にかかる業務委託先選定時のチェックや、業務委託契約に関する適正性の確認等の業務プロセスの管理が不十分であったことと認識している。また、長期間にわたり、業務委託契約の受発注に権限を持つ立場にあった元社員が不正行為を継続するなか、MYテクノ社の業務委託契約にかかる内部管理態勢に課題があったことにより、事案の発覚に時間を要した。
(2)再発防止策
業務委託先の選定基準の見直し、および管理体制のいっそうの強化を通じて同様の事案を未然に防ぎ、早期に発見する態勢の構築に向け、以下のとおり取り組んでいく。
・財務上の健全性や個人情報の管理体制などの、これまでの業務委託先選定時のチェック項目を見直し・厳格化することで、チェック機能を強化していく
・契約時点・請求時点の承認プロセスにおける複眼的な検証の実施、請求書と成果物・作業報告の突合の強化等、確認・チェックを厳格化することにより、業務プロセスの管理を強化していく
・内部監査における業務委託契約の内容・契約金額の妥当性等にかかるモニタリングを実施し、内部監査の検証視点を見直すなど、内部管理・監査における対応を強化するとともに、管理職層に対する実質的な同一業務の長期間従事を原則禁止する
あわせて、MYテクノ社社員へのコンプライアンス教育の徹底を図るとともに、グループ全体のコンプライアンス態勢のさらなる高度化に向けた取組みを継続実施していく。