記者のつぶやき「差額ベッド=個室ではありません」

4月1日、新年度予算が参議院で再修正されたうえ、衆議院に戻されて本会議で同意を得て成立しました。ここまですったもんだしたのも「高額療養費」制度を巡り、政府の対応が一転、二転、結局、現行通りのまま、見直し(負担増)はしないという形に落ち着いたからです。
昨年末から3か月以上にわたり、様々な立場の人がこの問題に言及、新聞やテレビでも大きく取り上げられました。「高額療養費」制度について知らなかった人も、この3か月でそれなりに知識、情報を得たのではないでしょうか。入院した際にいくらぐらい医療費がかかるのか、これを機に関心を持った人も多いと思われます。
入院に際し患者さんにとって大きな負担になるもののひとつに「差額ベッド料」があります。「差額ベッド=個室」と誤解している人がけっこう多いのですが、ここに大きな誤りがあります。病室数が4床以下、病室の面積が一人当たり6.4平方メートル以上、ベッドごとにプライバシーを確保し小机、いすなどを設置、このような条件をクリアしていれば、3人部屋、4人部屋でも差額ベッド料を徴収してもよいことになっています。そしてその料金は医療機関が自由に設定できるのです。
差額ベッドの設置限度については厚労省の通知によってきめられています。民間病院では全病床数の50%、国立病院は20%、地方公共団体の病院は30%となっています。300床の民間病院では150床までは差額ベッドを設けることができるわけです。診療報酬は厚労省が細かく定めており医療機関の自由裁量でどうすることもできません。病院経営は厳しい状況下にあります。自由に価格が設定できる差額ベッド収入は医療機関にとって病院経営の一つの柱になっているのです。
大部屋は満室だが差額ベッドは空いている、という状況がよく見られますがこのような事情があるからです。 「とりあえず差額ベッドに入り、空きが出たら大部屋に移る」、現実によく見られる運用方法となっています。(T)