記者のつぶやき「費用かさんでも個室入院を希望することも」

私事になるがこの6月、80歳代の母親が自宅で転倒し、かかとを剥離骨折した。命にかかわるようなけがではなかったが、一人暮らしの母親が自宅で生活を続けることは難しく、かかりつけ医に相談して入院できる病院を探してもらった。
ケガの程度から判断して、地域の中核病院ではなく、整形外科専門の病院に入院することになった。入院手続きの際、費用のかからない大部屋にするか個室にするかの確認があったのだが、特別室ではなく安めの個室が空いていたのでそちらを選択することにした。
結局、この選択が後々、良かったことになる。入院して二週間程度は車いすだったが、その後は歩行器、そしてつえをつきながら歩けるように順調に回復していった。「入院したらすぐに退院計画をたてられた」、入院期間の短縮化が進むなか、そのような話を聞くことがよくあるが、病院側からはそんな話は一向にない。面会に行った際にさりげなく周囲を観察すると大部屋は満床だが、個室は名札がかかっておらず、どうも空きがけっこうあるようだ。
人づぎあいの良い母親が周囲の患者さんに聞くと、大部屋は入院希望が多いので1、2週間で退院になるようだが、個室はそんなことはないらしい。2か月ほど入院している人もいるという。身内の医師にその話をすると、整形外科は夏場の入院患者が減るのが一般的とのこと。そうなるとどうしても個室に空きが出るので、軽い症状で手のかからない患者さんなら長期の入院も対応してくれることが多いらしい。入浴やトイレのことを考えたら、一人暮らしで狭い自宅、歩行器では到底対応できない。完全に歩けるまで入院させてほしいと伝え、結局、2か月弱入院することができた。身内としてはありがたい限りであった。
患者さんにより、抱える事情は百人百様。費用がかさんでも個室をということもある。医療保険を含め、経済的な準備があればいざという時、選択肢が広がることは間違いない。(T)