記者のつぶやき「法人契約の養老保険・個人年金保険へ注意喚起」
去る6月24日に通達にない法人契約の養老保険・個人年金保険に対する国税庁からの注意喚起が生命保険各社に伝えられた。
今回の注意喚起は、国税庁が税務調査で把握したものに対して金融庁に伝えられたもの。
参加した担当者からは困惑の声が聞こえる。その理由は、国税庁が税務調査で把握した内容の詳細が伝えられなかったためだろう。
問題となったのは、死亡保険金または死亡給付金の受取人が法人で、満期保険金または年金の受取人が被保険者の法人契約の養老保険・個人年金保険。
養老保険については、逆ハーフタックスプランなどの名称で販売され、平成24年1月の最高裁判決でも話題になった受取人形態だ。
この受取人形態は法人税基本通達9―3―4に規定されていないが、同9―3―4(3)の福利厚生プランの取扱いの類推解釈で、保険料の2分の1を「支払保険料」として損金算入、残りの2分の1を「給与」もしくは「貸付金」として処理していた。
最高裁の判決後も、この経理処理を前提として販売される契約が多くあった。その後、各社は販売自粛をしたが、契約成立後に受取人変更をすることで一部では販売が続いていた。
今回の注意喚起では、「独自の解釈により通達を類推適用することは認められない」とされている。
伝え聞いた話では、「通達に規定がないのであるから、法人税法の趣旨に則って処理をすべき。法人が保険料を支払った時点では経済的利益は発生しておらず、支払保険料は全額損金算入(単純損金)できる」という独自解釈で販売していたケースがあったようだ。同様に、個人年金保険でも全額を損金算入(単純損金)できると主張していたものがあった。
今回の趣旨は「このような受取人形態では販売しないように」ということ。そのためには、契約成立後の受取人変更を認めないようにするしかないが、「約款の規定からすると拒否できないのではないか」と、対応に苦慮している生命保険会社もあるようだ。(S)