記者のつぶやき「金融庁が「保険モニタリングレポート」を公表」

金融庁は6月30日、「2023年 保険モニタリングレポート」を公表した。このレポートは、「保険行政の透明性を高めつつ、各保険会社と課題認識等を共有しながらPDCAサイクルをより強く意識した行政運営を行っていくこと」を目的に、21事務年度から公表しているものだが、今回は例年より3か月ほど早く公表された。
「Ⅳ.顧客本位の業務運営について」の「5.その他」では、「保険本来の趣旨に沿った商品開発および保険募集」について、22年7月発表の国税庁との連携スキームに基づき、定期的な意見交換を実施したほか、商品審査段階において税務上の見解に係る照会を通じて連携を図ったとしている。
また、各生命保険会社では、自社の販売実態を踏まえて、保険本来の趣旨を逸脱した保険募集を防止する観点から、以下のような取組みの継続または強化が確認された。
・注意喚起文書による契約申込者への説明や説明内容に係る確認書の徴求
・契約者に対する本社部門等からのアウトバウンドコールによる確認
・本社契約保全部門やコンプライアンス部門による販売後の契約内容の変更に対するモニタリング(解約、名義変更、払済、失効等)
さらに、生命保険会社の中には、自社の販売商品について、保険本来の趣旨を逸脱した保険募集が行われ得るリスクを網羅的に洗い出し、保障目的の商品であることや節税(租税回避)効果はないことの説明に加え、具体的事例を注意喚起文書で示すことで、不適切募集の防止につなげようとする取組みも見られた。
一方、商品開発および募集管理について業務運営態勢上の問題が認められ、自主的な改善が十分には期待できない保険会社に対し所要の行政対応を行い、これらの生命保険会社については、引き続き、商品開発および募集管理態勢の整備状況等について、重点的にフォローアップを行っていくとしている。(S)