記者のつぶやき「営業職員管理態勢の更なる高度化に向けて」

金融庁が明治安田生命に検査に入ったことが伝えられている。主に営業職員による保険料着服などの事案を受けた管理態勢の調査であるが、中小企業の経営者向けの法人契約についても、過度な節税効果をうたった販売実態がないかどうか確認すると言われている。
生命保険協会は去る2月17日、「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」を取りまとめ、ホームページで公表した。この「着眼点」は、会員各社の取組みをあと押しすることを目的に、実効的なコンプライアンス・リスク管理態勢の整備を進めるにあたって、会員各社に共通する要素と考えられる対応や留意点について、原理・原則としてのプリンシプルとして示すとともに、参考となる取組例を取りまとめたもの。
営業職員チャネルに関しては、新型コロナウイルスの感染拡大などによるリモート環境下での活動の増加といった大きな環境変化があり、また、各社で相次いで明らかになった元営業職員による金銭詐取事案の発生問題への対応も喫緊の課題となっている。
営業職員チャネルの特徴は、営業職員がその活動を通じて顧客や活動地域・企業・団体等において長期かつ強固な信頼関係を構築している点にある。顧客との関係が緊密であるため、営業活動の中で公私の区別が曖昧となる、顧客と1対1になる機会が多く第三者によるチェックが行き届かない可能性があるなど、その特徴と表裏一体のリスクが存在する。
また、同じ営業職員チャネルであっても、生命保険会社によってそのビジネスモデル、経営戦略、販売チャネルの属性・特徴や業務運営・人事制度等は各社各様である。
金融庁は、「自社の課題やリスク特性などに応じて、この着眼点を活用しながら、形式的・画一的なものにとどまることなく真に実効性のある取り組みを進め、各社ごとに取り組み状況を公表するなど、取り組みの透明性・実効性がより高まるような積極的な対応を期待する」としている。(S)