記者のつぶやき「個人への名義変更時の改正案の公表を受けて」

法人から個人への保険契約の名義変更時の評価を見直す所得税基本通達36-37の改正案が公表された。
3月に示された見直し案どおりの部分もあれば、新たに払済・名義変更・復旧に関する項目など、追加されたものもある。
改正案の公表前後に聞かれた疑問は、法人から法人への名義変更の際の権利の評価額はどうなるのかというものが多かった。やはり複数の会社が質問を提出しており、その回答は「所得税基本通達36-37が類推適用されていることから見直しの対象」であった。
また、適用についての疑問も多かった。3月の見直し案では「令和元年7月8日以後に締結した契約を通達改正後に名義変更した場合に適用」とされていた。
「通達改正後の契約から適用にならないだろうか」という一縷の望みを込めた声も多かったが、意見募集要領の適用時期の(注)では、「法人税基本通達9-3-5の2の取扱いは、令和元年7月8日以後に締結する保険契約等に適用するとされていることから、同日前に締結した保険契約等は、原則として、見直しの対象にならないものと考えます」としている。
なぜ「考えます」という微妙な表現なのか? 何か含みがあるのではないかという声もあるが、ここは素直に読むしかないのだろう。
見直しの対象を法人税基本通達9-3-5の2の取扱いの適用を受ける契約に絞っている点については、「租税回避に利用されている低解約返戻金型保険は、早急に見直しを行う必要がある」としている。
対象を絞ったため、多くの疑問を生む結果となっていることは否めない。5月27日までの意見募集期間には税理士等の専門家からも多くの意見が寄せられることと思われる。それにより改正案が大きく修正されることは望み薄であるが、国税当局の回答には興味を持っている。
改正の内容については、別の記事(新日本保険新聞【生保版】2021年5月10日付7面)で意見募集要領を掲載し解説を行っているので参考にされたい。(S)