新型コロナウイルスの影響で、営業活動ができない時は

つい先日、生保会社のセールスパーソンや現場の管理職向けに研修をされている講師の方と話す機会があった。
やはり、「この時期に予定していた、セミナーや研修が軒並み中止となり、仕事に大きな影響が出て大変です」と困った顔をされていた。

「時間が余っているので、これまでに自分が使ってきた研修教材の見直しや、新しい知識の習得に力を入れています」と話されていたが、そこから話が転じて、「コロナウイルス対応の影響で職域活動ができない営業職員や、来店者が激減したショップスタッフはこれから何をしたらいいか」という話題になった。

「お客さまに会えないこの時期だからこそ、日頃はおろそかになりがちな自分の基礎的なスキルを見直し、ブラッシュアップしたらいいのでは?」ということで、注目したのが、生命保険協会が実施している、一般課程試験のテキストだ。
通常、一般課程試験のテキストは、試験対策で一通り勉強して、試験が終了したらあまり見直さない人が多いのではないだろうか。実にもったいない話である。

このテキストは、これまで長きにわたり、業界の担当者たちが集まり、議論を重ねて作りこんできたテキストである。
一般課程試験の受験者は、初めて生命保険業界に飛び込んできた新人がその対象であり、したがって、生命保険の知識が全くないことを前提としている。

何が言いたいか、というと、「生命保険のことを全く知らない人が読んでも理解できるやさしい言葉で、生命保険を解説している」ということだ。つまり、ここに書いてある言葉で説明すれば、「誰でも生命保険のことが理解できる」ということである。
ここで、このテキストの活用方法だ。

まず、ページを開いて、「〇〇とは」と書いてある箇所を見つけたら、そこを読む前に、自分なら、お客様に「〇〇とは何ですか」と聞かれた時に、なんと答えるか考えてみる。場合によっては書き出してみるのもいいだろう。
答えが出てこなかったり、うまく言えなかったりする言葉があれば、それは、自分が「きちんと」理解できていない証拠だ。
別に用意していた白紙のカードに「〇〇とは」という言葉を書き込む。そして、そのカードの裏に、一般課程試験のテキストの解説を書き込む。

もちろん、解説の言葉より、自分の説明のほうが分かりやすいと思えば、ムリにテキストの答えを覚える必要はない。
自分が「この用語の説明苦手だな」「わかっていないな」という言葉を中心に集めていくのだ。

こうして1つの単元で、ある程度カードが集まったら、そのカードを使ってきちんと裏の解説を読まずにスラスラ説明できるか、やってみるのだ。
うまく言えるようになれば、お客様に尋ねられた時に答えることができるか、実践で試していけばいい。
お客さまから「なるほど」とか、うなずきのシグナルが出てくれば、そこで初めて知識が「身についた」といえる。

セールスパーソンやカウンターのスタッフには、難しい言葉をわかりやすく説明する能力が求められる。
「知っている」ことと「自分の身についている」ことには大きな違いがある。
トレーニングで基礎的な知識を自分のものにすれば、平時に戻った時、大きな自信になる。

なかなか営業活動に専念するのが難しいこの時期の時間をぜひ有効活用していただきたい。(U)