記者のつぶやき「改正通達発遣、『例外的取扱い』は一部存置」

発遣が待たれていた法人契約の生命保険の税務取扱い見直しにかかる法人税基本通達の改正が6月28日にようやく発遣(「法人税基本通達の一部改正について」(課法2―13、課審6―10、査調5―3))されました。
同時に、4月11日から5月10日までのパブリックコメントで寄せられた意見に対する国税庁の考え方も公表されました。改正案は、寄せられた意見等を反映する形で多くの修正が行われており、原案との対比表も公表されています。
注目され、最後まで調整が続けられていた平成14年がん終身通達で規定されていた「例外的取扱い」については、一部存置という形で決着しました。
この「例外的取扱い」は、改正案においては廃止することになっていました。
その理由として、国税庁は「通達制定時とは状況が異なり、近年、経営者向けに、保険料の払込期間を著しく短期間に設定し、かつ、その支払保険料の額が高額なものが販売されている実態があり、『例外的取扱い』の前提としていなかった保険に係る支払保険料の額についてまで『例外的取扱い』の対象となり、課税所得の適正な期間計算を著しく損なう結果が生じていた」としています。
それが一転、一部存置となった理由については、一部の雑誌が書いていたような巷間噂される事実があったのかどうかは分かりませんが、1被保険者あたりの年間払込保険料が30万円以下(複数の契約がある場合には加入保険会社に関係なくそれらを通算)のものについては、「例外的取扱い」と同様の都度損金を認めることとされました。
また、今回の通達改正の適用は、令和元年7月8日以後の新契約からとされていますが、「例外的取扱い」と同様の都度損金の改正については、令和元年10月8日以後の新契約からとなっています。その理由は、「支払保険料の限度額を追加したことを周知する期間が必要と考えられるから」としていますが、なんとも苦渋の選択であるように感じられます。(S)