記者のつぶやき「改正通達が発遣されれば明らかになるが…」

法人契約の生命保険の税制は、商品群ごとの税務取扱いを定めた個別通達等を廃止し、定期保険・第三分野保険に対する最高解約返戻率を指標とする共通ルールを設けることとし、改正案が公表されている。
今回の改正の多くは、新設される法人税基本通達9-3-5の2(定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い)に規定されるが、関連する法人税基本通達9-3-4から9-3-7の2までにおいて改定が行われる。
通達の文言からどのように解釈すべきか不明な点があり、生命保険各社からも多くの意見・質問が寄せられたようだ。

その中でも、話題になったのが平成24年のがん保険(終身タイプ)の個別通達に記載されている「例外的取扱い」だ。
これは、「保険契約の解約等において払戻金のないもの(保険料払込期間が有期払込であり、保険料払込期間が終了した後の解約等においてごく小額の払戻金がある契約を含む。)である場合には、保険料の払込の都度当該保険料を損金の額に算入する」と規定され、支払保険料額を全額損金算入することを認めたものだ。
通達改正案には明記されていないため、この例外的取扱いが認められなくなるのではないかと懸念されていたが、どうもそうなるようだという話が伝わってきた。
そうなると、原則どおりの短期払の取扱いとなり、支払保険料に対して保険期間と払込期間による当期分保険料を算出し、その金額を損金算入することが必要になる。
一部の保険会社は、5月いっぱいで該当する医療終身保険を売り止めとすると言われていたが、ここに来て、様相が変わり、現行どおりの取扱いが継続されるという話が出てきた。

また、通達改正案に対するパブリックコメントによる意見募集は5月10日に締め切られ、今は通達の発遣を待っているところだが、過日、保険会社に対して追加の商品アンケートが行われた。
調査対象は、第三分野保障と死亡保障が組み込まれた保険期間が終身の保険。
寄せられた意見・質問から、今回の改正通達案に規定されていないものがあったということかと思われるが、個別商品対応から共通のルールへの変更は全体として整合性がとれていないのではないかと疑問視される部分もあるようだ。

いずれにしても、改正通達が発遣されれば明らかになることであり、現時点において噂に一喜一憂する必要はなないのかもしれない。