記者のつぶやき「全損定期を金融庁が調査」

6月28日にダイヤモンドオンラインで法人向け定期保険についての金融庁調査が取り上げられた。そして、翌29日は朝日新聞でも同じ趣旨の記事が掲載された。
6月中旬に金融庁からの「事業費モニタリングにおけるアンケート依頼について(法人向け定期保険の付加保険料実態調査)」が生命保険会社に届き、6月下旬が提出期限となっていた。
調査対象は『発売中、または、認可取得済で販売準備中(料率改定を含む)の定期保険のうち「保険年度によって営業保険料に占める費消付加保険料の割合が変動」する保険商品』とされている。
対象となる保険商品については、法人契約が可能な定期保険全般(特約を含む)とされ、逓増定期保険、介護定期保険、災害保障重視型定期保険、生活障害定期保険等を含むとしている。
昨年来、全額損金タイプの法人向け定期保険の発売が相次ぎ、決算好調な企業が増えている状況下、契約は好調に推移している。
しかし、返戻率アップ競争となっている状況に、流れに乗って販売はしているものの、税制変更リスクに対する不安を口にする保険募集人も多かった。
これまでの法人契約の通達改正等の歴史を振り返ると、〈そろそろ何かあってもおかしくない〉という危惧がそこにあった。

ダイヤモンドの記事は、『国税庁からいつ全損否認の通達が示されるか、その時期を見極めながら、生保各社の「駆け込み販売」が今後本格化することになる』と締めくくっているが、現時点においては、税制変更に向けての作業が始まっているとは言えないだろう。
まずは、各社から提出されたアンケートを金融庁が確認、必要に応じて個別ヒアリングを実施し、付加保険料の設定が適切かを検証する。
その結果、問題ありとなった会社の商品については、「適正な水準に戻すまでは売ってはいけない!」という指導があるかもしれない。
今後の動向に注目したい。(S)