記者のつぶやき 「標準利率下げと業法改正への対応は?」

4月からの標準利率引き下げを受けた料率改定により、円建ての貯蓄性商品の魅力が大きく低下したことを受け、平成29年度上半期業績を大きく下げている会社が多い。特に個人年金保険の新契約件数は、前年同期比20%前後という会社も目立つ。

そんななか、日本生命が投入した法人向け商品「プラチナフェニックス」(傷害保障重点期間設定型長期定期保険)が注目され販売件数を伸ばしている状況下、法人を主要マーケットとする会社をはじめ、他社も同種商品の改定や新発売により法人マーケットへのテコ入れを図っている。

それでは、販売チャネルの状況はどうなっているのか?

生命保険協会が毎年発表している「生命保険の動向(2017年版)」から営業体制を見てみると、ピーク時には44万人だったた登録営業職員数は長年にわたり減少が続き、ここ数年も減少傾向にあったが、平成28年度末は23万2006人(前年度比101.0%)と、2年連続の増加となった。代理店関係では、法人代理店数は概ね横ばいとなっており、3万5306店(同100.3%)、個人代理店数は5万5805店(同96.6%)と2年連続の減少となった。代理店使用人数は、平成14年度は銀行窓販の解禁により前年より40万人増の69万3441人と急増し、平成19年度は郵政民営化の影響もあり前年より13.5万人増の91万2096人となっていた。その後、平成23年度に100万人を突破した後も、99万人台に減少した平成26年度を除いては増加が続いており、平成28年度は100万3507人(同100.4%)と若干の増加となった。

代理店使用人数には、銀行・証券などの金融窓販に携わる人と乗合代理店等で働く人がいるが、代理店チャネルは保険業法の改正による影響を強く受け、今後に向けて体制づくりに腐心している真っ最中である。使用人の代理店間の移動も多く聞かれるほか、生命保険会社等による大型代理店への資本参加も話題にのぼる。

今後は他業界からの新規参入も含め、適者生存の傾向がますます強まることが予感される。いかにすれば顧客から選別される保険営業パーソンになるか、個々の力量がさらに強く問われる時代になっていく。(S)

平成29年度版 主力保険のすべて[死亡保障・年金編]