朝日生命、「第2回Asahi学生デザインコンペティション」を開催
朝日生命は、国内の学生(大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専修学校専門課程に在籍)を対象に日頃の学習成果や課題解決力を発信・表現する場の提供を目的とした「第2回Asahi学生デザインコンペティション」を開催した。昨年に引き続き2回目となる今回は「受け継ぐ建築」をテーマに作品の応募を受け付けた。計49点の応募作品の中から厳正なる審査の結果、6作品(1等1作品、2等1作品、入選4作品)が選考・受賞となった。
【コンペティション概要】
■テーマ「受け継ぐ建築」
■募集期間 2024年8月20日~11月20日
■審査方法 一次審査:提出作品による選考
二次審査:制作者のプレゼンテーションによる選考
■審査員(五十音順)
中山善夫 株式会社ザイマックス不動産総合研究所代表取締役社長
原田哲夫 株式会社竹中工務店常務執行役員
【受賞作品】
●1等(賞金10万円)
『水を受け継ぐ建築』
西尾依歩紀(金沢工業大学大学院修士課程2年)
〈審査員コメント〉
地球環境が変化し、災害が増加している中、現代建築は水の循環サイクルには無頓着であった。
本作品は、見落としがちな社会課題に対して、水循環を考えた部材の再考と設計目標を提案し、地勢に応じたプランを3提案した秀作である。今後は自然環境に配慮した建物が増えることにより、良好な生活の実現と災害被害の減少が期待できるのではないか。(中山)
金沢の山間部から平野に至る水の循環と建築のあり方を体系化した36の部位パターンは、人の営みと関連づけることで、多様な意味をもつ豊かな環境を生み出す手法となることが期待される。(原田)
●2等(賞金5万円)
『創作の共働体‐大田区町工場における、「減築」と「挿入」
による『仲間まわし』の可視化と再構築‐』
阿部凌平(早稲田大学4年)
山口篤(早稲田大学4年)
〈審査員コメント〉
ものづくり日本の代表である大田区。そこでは町工場の減少・衰退が進んでいる。本作品はエリアリノベーションにより、町工場の連携を実現し、建築的に可視化することを提案したものである。可視化により、再び町工場のものづくりへの関心が高まり、技術伝承が促進されることを願いたい。(中山)
東京・大田区の「仲間まわし」というモノづくりネットワークに注目し、人の手が生み出すプロダクトを起点として、下町情緒を残しつつイノベーションの場となることを企図している。(原田)
●入選
『「メモリースケープ」を追い求めて』前田将平(京都工芸繊維大学大学院修士課程2年)
『い草かおる私の賃貸』鳥居春那(広島工業大学大学院修士課程1年)
『踊り場連盟』御巫景祐(早稲田大学大学院修士課程2年)
『私を受け継ぐ家』山田健太(金沢工業大学4年)
堀井七海(金沢工業大学4年)
〈全体を通じた審査員からのコメント〉
受賞した各作品は、それぞれ独自の視点・テーマで「受け継ぐ」ものを考え、それを建物プランに反映したものである。一方で、いわば「原石」とでもいえようか、磨くともっと素晴らしい内容になるものばかりであった。応募者のみなさんの今後の活躍に大いに期待したい。(中山)
持続可能な社会を考える上で、フィジカルな面だけでなく文化的な持続可能性という視点が欠かせない。その意味で今回の「受け継ぐ建築」は、とても奥行きのあるテーマで、建築だけでなく自然・風土・歴史・産業から個人の内面まで想像を超える幅広いものが「受け継ぐ」対象として提案され、その一つ一つに込められた想いの深さに魅了された。建築に落とし込む部分の深度や完成度にバラツキが見られたが、多くの作品はその差も僅かな力作揃いであった。(原田)