8月4日の海外市場は、先週末の雇用統計ショックからの急速なリバウンドが主要テーマとなった。NYダウ+585ドル(+1.34%)の大幅反発により、VIX指数は28.5から23.2まで低下し、リスクオンセンチメントが復活。USD/JPYは147.20から146.70へ下落し、9月FOMCでの利下げ確率は97%まで上昇。S&P500のEPS成長率75%という異例の好決算シーズンが株式市場を支え、一方で政治リスクの高まりがドル売り圧力を継続させている。
市場参加者の主要ポジション変化
- 米株ロング(特にテック系)の復活
- USD売り継続、JPY買いの加速
- 債券ロング(利下げ期待)
- コモディティ(原油)ショート継続
主要ニュース分析
【重要度:★★★】【影響期間:短期】米株大幅反発、決算好調が下支え
ファンダメンタル分析
S&P500構成銘柄の決算EPS Beat Rate 75%は、2021年Q1以来の高水準。特にMSFT(時価総額$4T突破)、META(+12%)のテック大手が牽引。Revenue growth rateは前年同期比+8.4%と堅調を維持。
テクニカル分析
- SPX: 6,329(+91pt)でDaily MA20(6,280)を上回り、RSI(14)は35から48まで回復
- NDX: 21,053で20,800の強力サポートをテスト後、急反発
- VIX: 23.2で30以下に戻り、恐怖心理の収束を示唆
類似ケース比較
2024年8月初旬の雇用統計ショック後のV字回復パターンと酷似。当時もEPS成長率68%が下支えとなり、3営業日で完全回復を達成。
【重要度:★★☆】【影響期間:中期】USD/JPY下落、政治リスクが重荷
ファンダメンタル分析
Fed Fund Futures(Sep25)が97%の利下げ確率を織り込み、BLS局長解任による統計信頼性への懸念が拡大。2Y-10Y Spreadは-65bpでディスインフレ期待が強化。
テクニカル分析
- USD/JPY: 146.70で146.50(200DMA)を試すダウントレンド
- Support: 145.80(7/15安値)、Resistance: 148.20(8/1高値)
- RSI(14)は42で売られ過ぎからは脱出するも上値重い
中期見通し
日銀の国債買入減額ペース緩和により、日米金利差縮小トレンドが継続。145.00-149.00のレンジ内推移を予想。
【重要度:★☆☆】【影響期間:短期】中国PMI改善、リスクオン要因
データ分析
Caixin Services PMI 52.6(予想50.4)は14M高で、中国経済のソフトランディング期待を強化。上海総合指数+1.8%の上昇で、MSCI EM Indexにポジティブ影響。
セクター別インパクト:
- 中国関連ADR:+2.3%平均上昇
- コモディティ(工業金属):軟調継続
- AUD/USD:0.6520で小幅反発
市場インパクト評価(10点満点)
項目 | 短期(1-3日) | 中期(1-4週) |
---|---|---|
米株式 | 8.5点 | 7.0点 |
USD/JPY | 7.5点 | 8.0点 |
債券利回り | 6.5点 | 7.5点 |
VIX | 8.0点 | 5.0点 |
原油 | 4.5点 | 6.0点 |
総合リスク指数:中程度(前日:高リスクから改善)
トレード戦略提案
A) USD/JPY ショート戦略(中期)
エントリー: 147.20-147.50(リバウンド待ち)
ストップ: 148.30(Daily高値上抜け)
ターゲット1: 146.20(近期サポート)
ターゲット2: 145.80(7/15安値)
リスクリワード: 1:2.1
推奨ポジションサイズ: 資金の2%
B) SPX ロング戦略(短期)
エントリー: 6,280-6,300(押し目待ち)
ストップ: 6,200(20DMA下抜け)
ターゲット1: 6,400(8/2高値)
ターゲット2: 6,500(心理的節目)
注意: VIXが25以上で見送り
C) 10Y UST ロング戦略(中期)
エントリー: 利回り4.10-4.15%
ストップ: 4.25%(利上げ思惑復活)
ターゲット: 3.85%(9月利下げ後)
デュレーションリスク注意
リスク管理の注意点
高確率リスクシナリオ(確率30%)
- ISM非製造業指数(本日23:00)が48台まで悪化
- 追加利下げ観測でUSD全面安
- SPXは6,200割れの可能性
- 中国政治情勢の不安定化
- 上海総合3,500割れでリスクオフ再燃
- AUD、NZD売り加速
低確率・高インパクトリスク(確率5%)
- 地政学リスクの突発的悪化
- VIX 35+への急騰
- 全ポジション50%縮小を推奨
ポジション管理ルール
- 最大ドローダウン制限: 日次2%、週次5%
- 相関性チェック: USD系ペア同時保有上限3つ
- ニュースフロー監視: BLS統計、Fed要人発言に即応
今週の重要経済指標
- 8/6 (火): RBA政策金利(据え置き予想)
- 8/7 (水): 米新規失業保険申請件数
- 8/8 (木): 米PPI、ECB政策金利
免責事項
本レポートは情報提供目的のみであり、投資助言ではありません。取引は自己責任で行ってください。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。
チーフアナリスト 山田
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