8月1日発表の米7月雇用統計が市場予想を大幅に下回り、グローバル市場に衝撃波が走った。非農業部門雇用者数7.3万人増(予想10.4万人増)、過去2か月分の大幅下方修正(△25.8万人)により、Fed Funds先物は9月利下げ確率を85%まで引き上げ。USD/JPYは147.06まで急落(△3円)、日経225は4万円割れ(△508円)、VIXは36.5まで急騰。ハト派転換期待とリセッション懸念のバランスが今後のキーファクターとなる。
主要ニュース分析
【重要度:★★★】【影響期間:短期~中期】米雇用統計ショックによる政策転換期待
ファンダメンタル分析
- NFP 7.3万人増 vs 予想10.4万人増(36ヶ月ぶり低水準)
- 失業率4.2%(+0.1%)、U6失業率7.8%まで上昇
- 3ヶ月移動平均3.5万人増(2020年4月以来の低水準)
- 平均時給前年比+3.2%(インフレ圧力は限定的)
テクニカル分析
USD/JPYは150.53の年初来高値からの下降トレンドを継続。147.06で一時的なサポートを確認したが、146.50-147.00ゾーンが重要なレジスタンス転換点となる可能性。RSI(14)は30を下回り売られ過ぎ水準だが、MACDはデッドクロス継続中。
類似ケース比較
2019年8月のFed利下げ局面との類似性が高い。当時もNFP急減速(130K→159K→164K)後、3回連続利下げを実施。USD/JPYは108円台まで下落した経緯がある。
【重要度:★★★】【影響期間:短期】日経225の4万円割れとボラティリティ急騰
テクニカル分析
日経225は40,799→40,290(△508円、△1.25%)で引け。25日線(40,850)を明確に下抜け、75日線(39,200)がメジャーサポートとなる。一目均衡表の雲下限39,800を一時割り込んだことで、テクニカル的には弱気転換シグナル。
セクター分析
- 金融株:三菱UFJ△3.2%、みずほ△2.8%(金利低下懸念)
- 輸出株:トヨタ△1.8%、ソニー△2.1%(円高による業績圧迫懸念)
- ディフェンシブ:電力+0.3%、通信+0.1%(相対堅調)
【重要度:★★☆】【影響期間:中期】米国債イールドカーブのベア・フラットニング
債券市場分析
- 10Y UST: 4.37%→4.22%(△15bp)
- 2Y UST: 3.95%→3.70%(△25bp)
- 2s10s Spread: 42bp→52bp(スティープ化)
10年債利回り4.22%は200日線(4.15%)に接近。4.10%割れで7月安値3.98%をターゲットとする下降継続の公算。
市場インパクト評価
項目 | 短期影響度 | 中期影響度 | コメント |
---|---|---|---|
USD/JPY | 9/10 | 7/10 | 145円台テスト濃厚 |
日経225 | 8/10 | 6/10 | 38,000-42,000レンジへ |
米国債 | 9/10 | 8/10 | 利下げサイクル入り |
原油 | 5/10 | 6/10 | 需要減退懸念 |
金価格 | 7/10 | 8/10 | 実質金利低下で上昇余地 |
トレード戦略提案
A. USD/JPY ショートポジション
エントリー: 148.00-148.50ゾーン(リトレースメント待ち)
ターゲット1: 145.50(2024年1月安値)
ターゲット2: 143.75(フィボナッチ61.8%戻し)
ストップロス: 149.20(日足上髭)
リスクリワード: 1:2.5
B. 日経225 プット戦略
戦略: 39,500プット買い + 37,500プット売り(ベアスプレッド)
エントリー: リバウンド局面(40,500-41,000)
最大利益: 200円幅 – プレミアム
損切り: 41,500越え
C. 金ロングポジション(中期)
エントリー: $2,430-2,450
ターゲット: $2,550(年初来高値更新)
ストップロス: $2,380
根拠: 実質金利低下、地政学リスク
リスク管理の注意点
即座の注意点
- フラッシュクラッシュリスク: 流動性低下局面での急落に警戒
- 相関性上昇: リスクオフ時の資産間相関係数上昇
- ボラティリティクラスター: 高ボラ継続の可能性
中期的監視項目
- Fed Speakers: 8/7のカシュカリ総裁講演等
- ISM非製造業PMI: 8/5発表(予想48.8)
- CPI(8/14): インフレ動向の再確認
ポジションサイジング
現在の市場環境下では通常の50%程度のポジションサイズを推奨。VIX20超えの高ボラ環境では、1%ルール(口座資金の1%以内のリスク)を厳格適用。
市場見通し
Fed政策転換期待と景気減速懸念のバランスが当面の相場テーマ。テクニカル的には主要通貨ペア・株価指数ともに下降トレンド初期段階にあり、戻り売り戦略が有効。ただし、売られ過ぎからの急反発リスクも内包するため、リスク管理の徹底が必要。
チーフアナリスト 山田
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