前日(7/19)の海外市場は、トランプ関税政策とFRB金融政策を巡る二極化した動きが顕著。リスクオフの流れでダウ平均-142.30pt(-0.31%)、USD/JPYは148.75円で週間+0.93%上昇。ボラティリティ指数(VIX)は小幅上昇も警戒レベルには至らず。
キーポイント:
- 関税不透明感による世界的リスク回避
- ウォラーFRB理事のハト派発言で利下げ期待拡大
- 日本参院選を控えた政治リスクプレミアム
- 商品市場での明暗(Gold↑、Crude↓)
主要ニュース分析
【重要度:★★★】【影響期間:短期〜中期】関税交渉膠着とリスクオフ加速
ファンダメンタル分析
トランプ政権のEU向け15-20%最低関税維持方針は、当初期待された30%からの緩和効果を相殺。8/1期限を前に交渉決裂リスクが高まり、グローバル貿易縮小シナリオが現実味を帯びる。
テクニカル分析:
- EUR/USD: 1.1621で引けも上値1.1672からの反落は売り圧力を示唆
- DXY: 98.49でほぼ横ばいも週間+0.65%で強含み基調維持
- SPX: 5547付近の高値圏からの調整入りも、MA200(5420)上方で底堅さ
過去事例比較: 2018年米中貿易戦争時のパターンと類似。当時はSPXが-20%調整も最終的には新高値更新。
【重要度:★★☆】【影響期間:短期】ウォラーFRB理事のハト派転換
ファンダメンタル分析
7月利下げ主張は市場予想(据え置き70%)に反する内容。労働市場軟化を理由とするも、インフレ率2.7%下でのaggressiveな姿勢は注目に値する。
テクニカル分析:
- US10Y: 4.416%まで低下、4.50%レジスタンス下抜けで下降トレンド示唆
- DXY: 98.00サポート接近、BreakでUSD全面安の可能性
- Gold: 3358ドル、MA50上抜けで上昇継続期待
FF金利先物
9月利下げ確率61%は過度な織り込みの可能性。FOMCまでの調整余地あり。
【重要度:★★☆】【影響期間:短期】日本参院選と政治リスクプレミアム
ファンダメンタル分析
与党過半数割れリスク(確率40%程度)は、日米関税交渉の複雑化と財政政策の不透明性を高める。石破政権の求心力低下は円安材料。
テクニカル分析:
- USD/JPY: 148.75、149.00レジスタンス接近
- 上値目標: 150.50(6月高値)、152.00(心理的節目)
- 下値サポート: 147.50、146.00(MA200)
ポジション分析
IMM投機筋のJPYショート積み上がりを確認。ショートカバー注意。
市場インパクト評価
短期影響(1-2週間): 7/10点
- 関税期限(8/1)までの材料出尽くし感
- 7/30-31 FOMC前のポジション調整
- 参院選結果による政治リスク再評価
中期影響(1-3ヶ月): 8/10点
- 貿易摩擦の実体経済への波及
- FRB利下げサイクルの前倒し可能性
- グローバル成長率下方修正リスク
セクター別インパクト:
- 最大影響: 輸出関連株(-3〜5%予想)
- 恩恵セクター: 防御株、公益、金融(低金利)
- 通貨: USD弱含み、JPY・CHF・Gold強含み
トレード戦略提案
戦略1: USD/JPY ショート
エントリー: 149.20-149.50レンジ ターゲット1: 147.80(フィボ38.2%) ターゲット2: 146.50(MA200) ストップ: 150.00 リスク/リワード: 1:2.2 根拠: 政治リスク材料出尽くし + FRB利下げ期待
戦略2: Gold ロング
エントリー: 3340-3350ドル押し目 ターゲット1: 3380ドル ターゲット2: 3420ドル(年初来高値) ストップ: 3320ドル リスク/リワード: 1:2.3 根拠: 実質金利低下 + 地政学リスク
戦略3: EUR/USD レンジトレード
ショートエントリー: 1.1650-1.1670 ロングエントリー: 1.1580-1.1600 レンジ: 1.1550-1.1700 根拠: 関税不透明感下でのレンジ相場継続
戦略4: WTI Crude ショート
エントリー: 67.80-68.20反発 ターゲット: 65.50(サポート) ストップ: 69.00 根拠: 需要減退懸念 + 在庫増加
リスク管理の注意点
高リスク要因
- 流動性リスク: 夏季休暇シーズンでの薄商い
- イベントリスク: 参院選結果の予想外展開
- ボラティリティ: 関税期限接近でのサプライズ
ポジション管理指針
- 最大リスク: 口座の2%以内/単一ポジション
- 相関リスク: USD関連ポジションの過度集中回避
- 時間軸: 短期戦略中心、中期ポジションは軽めに
注意すべき経済指標・イベント
- 7/20: 日本参院選開票
- 7/21: 赤澤大臣訪米(関税協議)
- 7/24: ECB政策理事会
- 7/30-31: FOMC
- 8/1: 対日関税発動期日
マーケット監視項目
- VIX指数: 20超えでリスクオフ加速
- 2Y-10Y スプレッド: 逆転拡大で景気後退懸念
- DXY: 97.50割れでUSD全面安転換点
来週のキーレベル
通貨ペア | サポート | レジスタンス | 想定レンジ |
---|---|---|---|
USD/JPY | 147.50 | 149.50 | 147.00-150.00 |
EUR/USD | 1.1580 | 1.1670 | 1.1550-1.1700 |
GBP/USD | 1.2950 | 1.3050 | 1.2900-1.3080 |
Gold | 3320 | 3380 | 3300-3400 |
WTI | 65.50 | 68.50 | 65.00-69.00 |
今後の注目テーマ
市場は現在、複数の不確実性要因が交錯する局面。堅実なリスク管理と機動的なポジション調整が成功の鍵となる。特に流動性の薄い夏季相場では、通常以上に慎重なアプローチを推奨する。
チーフアナリスト 山田
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