7月18日の海外金融市場は、米経済指標の堅調さを背景としたリスクオン相場が継続。ミシガン大学消費者信頼感指数(61.4)が前月比改善し、ドルインデックスは3週間ぶり高値圏での推移を維持した。アジア市場では中国政府の価格競争規制方針を好感し、上海総合(+0.34%)、ハンセン(+0.73%)が上昇。一方、日本市場は参院選リスクプレミアムが継続し、政治的不確実性が投資判断の重石となった。
注目ポイント: USD/JPY 148.70-149.10レンジでの膠着、金先物の調整局面入り、中国株4週連続上昇の持続性
主要ニュース分析
【重要度:★★★】【影響期間:短期】米ミシガン大学消費者信頼感指数改善
ファンダメンタル分析
7月速報値61.4(前月60.7、予想61.5)は2カ月連続改善を記録。特に現在経済状況指数の堅調さ(64.8)が目立ち、前日の小売売上高+0.6%、失業保険申請件数22.1万件との整合性を確認した。消費者センチメントの底打ちが明確となり、Q3 GDP成長率予想の上方修正要因となる。
テクニカル分析
USD/JPY: 148.29(朝方安値)→149.08(高値)のレンジブレイク失敗。149.20-30が直近レジスタンス、148.00が重要サポート。RSI(14)は58.2で中立圏上部に位置。
過去事例比較
2019年8月の類似局面では、消費者信頼感改善後3-5営業日でドル高が加速。ただし、当時と異なり現在は政治リスクプレミアム(参院選)が上値を抑制する構造。
【重要度:★★★】【影響期間:中期】中国政府価格競争規制方針
ファンダメンタル分析
国務院によるEV業界「不合理競争」規制は、デフレスパイラル阻止の政策意図が明確。理想汽車12%高、ハンセンテック指数4%超上昇は、政策支援期待の表れ。CSI300の4週連続上昇は2023年12月以来の長期トレンド転換示唆。
セクター影響度
- EV関連銘柄: **+8-12%**の上昇余地
- 素材・化学: 価格競争緩和でマージン改善期待
- テクノロジー: エヌビディアH20チップ販売再開と相乗効果
戦略的インプリケーション
中国A株のPER16.5倍は依然割安水準。政策モメンタム継続ならFXI ETFでの中国株エクスポージャー増加が有効。
【重要度:★★☆】【影響期間:短期】日本国債市場の政治プレミアム織り込み
金利動向分析
10年債利回り1.52%(-3.5bp)、20年債2.53%(-4.0bp)の低下は、与党過半数割れ織り込み完了を示唆。イールドカーブのフラットニング(2s10s スप्रेड縮小)は景気先行き不安の表れ。
BOJ政策インプリケーション
政治的不安定化により、7月BOJ会合での追加利上げ確率は15%以下に低下。USD/JPY下値支持要因の後退を意味する。
【重要度:★★☆】【影響期間:短期】金先物調整局面入り
テクニカル分析
COMEX金8月限3,345.3ドル(-13.8ドル)は、3,380ドルからの調整局面。3,300ドルが重要サポート、3,250割れで中期調整本格化のリスク。
相関分析
DXY上昇(-0.78の負の相関)とリアル金利上昇(10年TIPS 2.45%)のダブルパンチ。VIX低下(14.2)も安全資産需要減退を示唆。
市場インパクト評価
アセットクラス | 短期影響度 | 中期影響度 | 主要ドライバー |
---|---|---|---|
USD/JPY | +65% | +40% | 米経済堅調、日本政治リスク |
中国株式 | +75% | +80% | 政策支援、デフレ対策 |
日本国債 | +45% | +30% | 政治不安、BOJ政策変更 |
金・貴金属 | -60% | -35% | ドル高、リスクオン継続 |
VIX | -40% | -25% | 経済安定、リスク選好 |
※影響度は-100%〜+100%で評価
トレード戦略提案
【短期戦略:1-3営業日】
1. USD/JPY ロングエントリー
- エントリー: 148.40-50 押し目買い
- ターゲット1: 149.50(+100pips)
- ターゲット2: 150.20(+170pips)
- ストップロス: 147.80(-65pips)
- 根拠: 米経済堅調継続、日本政治リスク
2. FXI(中国株ETF)ロング
- エントリー: 25.80-26.00
- ターゲット: 27.50-28.00(+6-8%)
- ストップロス: 25.20(-2.5%)
- ポジションサイズ: ポートフォリオの3-5%
3. 金先物ショート
- エントリー: 3,360-3,380リバウンド売り
- ターゲット: 3,280-3,300
- ストップロス: 3,420
- ヘッジ: DXYロングとのペアトレード
【中期戦略:1-2週間】
USD強気スタンス維持
- DXY 108.50ターゲット(現在106.80)
- EUR/USD 1.1450-1.1500売りエリア
- GBP/USD 1.2750レジスタンス意識
リスク管理の注意点
【高リスクイベント】
- 7月20日 参院選結果発表(JST 20:00-22:00)
- 与党大敗シナリオでUSD/JPY急伸リスク
- ボラティリティ拡大に備えたポジション調整必須
- 7月21日 アジア市場オープン
- 日本株式市場休場、為替のみ取引継続
- 流動性低下による価格スパイクに注意
- 7月30日 FOMC会合
- ウォラー理事発言との整合性確認
- ドットプロット更新によるレート期待変化
【ポジション管理指針】
- レバレッジ上限: 通常時の70%に制限
- 相関リスク: USD/JPY-日経225の連動性(相関係数0.65)
- ストップロス: ADR(Average Daily Range)の50-75%で設定
【マクロリスク】
- 中国不動産セクター追加下落リスク
- 米大統領令による関税政策急変可能性
- 地政学リスク(中東情勢)の再燃
免責事項: 本レポートは情報提供を目的とし、投資勧誘ではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
チーフアナリスト 山田
Certified Market Technician (CMT), 15年の機関投資家経験
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