2025年7月16日の海外FX・投資市場は、英国CPIサプライズ上昇とドル円の149円台突破が主要テーマとなった。前日の米CPIに続く英インフレ指標の予想超えにより、先進国全体の利下げ観測が大幅に後退。ドル円は3ヶ月半ぶり高値を更新し、150円の心理的節目が視野に入った。日本株は参院選リスクで様子見継続、長期金利は17年ぶり高水準を維持。G20財務相会議を控え、関税問題への市場の警戒感が高まっている。
市場全体のリスクセンチメント:RISK-ON継続(ドル強気バイアス)
主要ニュース分析
【重要度:★★★】【影響期間:短期~中期】英6月CPI 3.6% – BOE政策転換の触媒
ファンダメンタル分析: 英CPIの前年比3.6%(予想3.4%)は、2024年1月以来の高水準となり、BOEのハト派姿勢に重大な修正圧力を与えた。特に前月比0.3%(予想0.1%)の大幅上振れは、インフレの根強さを示唆。食品価格上昇が主因だが、サービス価格の粘着性も懸念材料。
テクニカル分析: GBP/USD:発表後1.3412まで上昇(+0.2%)。1.3350のサポートブレイクアウト後、1.3450レジスタンスに接近。RSI(14)は62レベルで上昇余地あり。
類似ケース比較: 2021年11月の英CPI予想超え時(4.2% vs 3.9%予想)では、GBP/USDが週間で+1.8%上昇。今回も同様のモメンタム継続の可能性。
トレード戦略:
- ロング設定: GBP/USD 1.3380(現在値近辺)でエントリー
- TP1: 1.3450(短期レジスタンス)
- TP2: 1.3520(フィボナッチ61.8%)
- SL: 1.3320(サポート割れ)
- R:R比率: 1:2.1
【重要度:★★★】【影響期間:短期~中期】USD/JPY 149円台突破 – 150円への道筋
ファンダメンタル分析: 前日米CPI(2.7% vs 2.6%予想)の余韻と日本の政治リスク(参院選)が円売りを加速。米10年債利回りの4.2%台推移と日米金利差拡大(約270bp)が構造的なドル高要因。
テクニカル分析: USD/JPY:149.19高値更新後、148.80近辺で調整。月足では上昇トレンド継続、週足RSIは78と過熱感あるも、日足では調整余地。149.50-150.00が次期レジスタンスゾーン。
過去データ比較: 2022年10月の150円接近時は日銀介入懸念で急反落したが、現在の金利環境と政治情勢は当時と大きく異なる。
トレード戦略:
- 順張り戦略: 148.50-148.70のディップでロングエントリー
- TP1: 149.80(心理的レジスタンス)
- TP2: 150.50(2022年高値)
- SL: 147.80(直近安値)
- 注意: 150.00近辺では日銀介入リスクを考慮し部分利確
【重要度:★★☆】【影響期間:中期】日本長期金利 1.595% – 金融政策正常化への示唆
ファンダメンタル分析: 10年債利回りの17年ぶり高水準維持は、参院選後の財政拡張観測と米金利上昇の複合要因。日銀の7月会合(30-31日)でのYCC修正観測が浮上する可能性。
市場インパクト:
- 銀行セクター:NIM改善期待で株価上昇要因
- 不動産:住宅ローン金利上昇で需要減退リスク
- USD/JPY:金利差縮小で上昇ペース鈍化の可能性
戦略的含意: 長期金利の1.6%突破は日銀政策修正の重要なシグナル。USD/JPYの上昇トレンドに変調をもたらす可能性として監視必要。
市場インパクト評価
要因 | 短期影響度 | 中期影響度 | 主要影響市場 |
---|---|---|---|
英CPI上振れ | 85/100 | 70/100 | GBP, EUR金利 |
USD/JPY上昇 | 90/100 | 75/100 | JPY, 日本株 |
日本長期金利高止まり | 60/100 | 80/100 | 日本債券, 銀行株 |
G20会議 | 40/100 | 65/100 | 新興国通貨 |
本日の重点監視事項
21:30 米6月PPI発表
予想: 前年比+2.5%(前月+2.6%)、コア+2.7%(前月+3.0%)
シナリオ分析:
- 上振れ時: USD/JPY 150円突破の可能性、米金利さらに上昇
- 下振れ時: ドル利食い売り、USD/JPY 148円台前半まで調整
- 予想通り: 現在のトレンド継続、レンジ相場
トレード戦略提案
高確度セットアップ
1. USD/JPY ロング継続戦略
- エントリー:148.50-148.70(押し目)
- 第1目標:149.80
- 第2目標:150.20
- 損切り:147.80
- ポジションサイズ:通常の70%(介入リスク考慮)
2. GBP/USD ブレイクアウト戦略
- エントリー:1.3380(現在値)
- 目標:1.3450-1.3520
- 損切り:1.3320
- ポジションサイズ:通常の100%
3. EUR/USD ショート戦略
- エントリー:1.1620-1.1640(戻り売り)
- 目標:1.1550-1.1500
- 損切り:1.1680
- 根拠:ECB利下げ観測とドル強気継続
リスク管理の注意点
主要リスクファクター
- 日銀介入リスク: USD/JPY 150円接近時の突発的介入可能性
- 米PPI予想外の結果: 21:30発表、高ボラティリティ想定
- 参院選結果: 7月20日、政治リスクの顕在化可能性
- G20会議: 関税問題での予想外の合意/対立
推奨リスク管理
- ポジションサイズ: 通常の70-80%に削減
- 損切り幅: タイトに設定(通常の80%)
- 利確戦略: 段階的利確の徹底
- 相関監視: USD/JPY-日経225の逆相関関係に注意
明日への展望
G20財務相会議の結果と米PPI次第で市場のトーン決定。USD/JPYの150円突破は時間の問題だが、日銀介入リスクとの綱引きが続く。英国のインフレ再燃はECBにも波及リスクあり、EUR圏の政策スタンス変化を注視。
市場格言: “The trend is your friend, but watch for the bend” 現在の強いドル上昇トレンドを活用しつつ、転換点のシグナルを見逃さないことが重要。
チーフアナリスト 山田
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