2025年9月11日の海外市場は、米PPI予想外の低下(前月比-0.1% vs 予想+0.3%)により利下げ期待が再燃し、リスクオン相場が展開。S&P500(+0.45%)、NASDAQ(+0.84%)が連日最高値を更新する一方、USD全般は軟調推移。しかし、アジア時間では自民党総裁選を巡る政治的不透明感からJPY売り圧力が強まり、USD/JPYは147.96レベルまで急伸。今夜の米CPI(21:30JST)とECB政策決定(21:15JST)が短期トレンドの転換点となる可能性が高い。
※こちらのコンテンツは海外在住の日本人向けコンテンツです。
※投資は自己責任のもとで行うようにしましょう。
主要ニュース分析
主要ニュース要点サマリー
• 米8月PPI前月比-0.1%で予想大幅下回り、FOMC大幅利下げ観測再燃(0.5%利下げ確率8%→12%)
• 日経平均44,372円で史上最高値更新、AI関連セクターが+3.2%の大幅上昇
• USD/JPY 147.96レベル到達、高市総裁選出馬観測で政治リスクプレミアム拡大
• 国内金先物17,496円で最高値更新、地政学リスク(露ポーランド・ドローン事件)が下支え
• ECB据え置き確実視も利下げサイクル終了示唆への思惑でEUR買戻し
1. 米生産者物価指数(PPI)大幅下振れと金融政策インプリケーション
【重要度:★★★】【影響期間:短期~中期】
米8月PPI(前月比-0.1% vs 予想+0.3%)の大幅下振れにより、FRBの政策パスに対する市場認識が変化。CME FedWatchでは9月FOMC大幅利下げ確率が8%から12%へ上昇したものの、依然として0.25%利下げ(88%)がメインシナリオ。
テクニカル分析:
- US10Y利回りは4.04%まで低下、前週高値4.12%から約8bp調整
- DXY(ドルインデックス)は101.85で20日EMA(102.15)を下抜け
- リスクパリティ戦略による株高・債券高の同時進行を確認
ファンダメンタル分析
PPIコア(前年比+1.8% vs 予想+2.0%)の鈍化は、労働コスト上昇圧力の緩和を示唆。過去データでは、PPI前月比がマイナス転換後のCPI動向は70%の確率で同方向。今夜CPI予想(前年比+2.8%)を下回る公算が高まった。
市場インパクト評価: 短期70%、中期85%
2. USD/JPY急伸と日本政治リスクプレミアム
【重要度:★★★】【影響期間:短期~中期】
高市早苗前経済安保相の総裁選出馬観測により、USD/JPYは147.40レベルから147.96レベルへ急伸。政治的不透明感とハト派政策への懸念が円売り圧力を誘発。
テクニカル分析:
- 148.00レベル(2024年7月高値)への接近で上値抵抗強まる
- RSI(14)は72.3で過買い水準、一時的調整の可能性
- 日足雲の上限(146.85)を明確にブレイクアウト
ファンダメンタル分析
自民党総裁選における政策スタンスの違いが焦点。高市氏の財政拡張・金融緩和継続志向は、日米金利差拡大期待を醸成。過去の総裁選(2021年)では政治プレミアムで最大3円程度の円安進行例あり。
リスク要因: 150円接近時の財務省介入リスク(確率60%)、日銀追加利上げ前倒し観測
市場インパクト評価: 短期90%、中期75%
3. ECB政策据え置きと利下げサイクル終了思惑
【重要度:★★☆】【影響期間:中期】
ECBは預金ファシリティ金利2.00%据え置きが確実視される中、利下げサイクル終了への言及がEUR相場のカタリストとなる可能性。
テクニカル分析:
- EUR/USD 1.1690で50日SMA(1.1705)下方で推移
- 1.1650-1.1750レンジの下半での膠着状態
- EUR/JPY 172.90で日足200EMAテスト中
ファンダメンタル分析
ECBコア預金金利2.00%は理論的中立金利(1.75-2.25%)レンジ内。ラガルド総裁が利下げサイクル終了を示唆すれば、EUR金利先物(2026年6月限)の大幅調整必至。
市場インパクト評価: 短期60%、中期80%
トレード戦略提案
USD/JPY
戦略: レンジ上抜けブレイクアウト狙い
- エントリー: 148.10ブレイクでロング
- 利確目標: 148.80(161.8%フィボナッチ・エクステンション)
- 損切り: 147.30(前サポート転換レベル)
- ポジションサイズ: 標準の50%(政治リスク考慮)
EUR/USD
戦略: ECB会合結果待ちのレンジトレード
- エントリー: 1.1650サポートでロング、1.1750レジスタンスでショート
- 利確目標: レンジ反対側±20pips
- 損切り: エントリーから30pips
GOLD
戦略: 地政学リスク継続でのロング継続
- エントリー: 2,535ドル押し目買い
- 利確目標: 2,580ドル(史上高値更新)
- 損切り: 2,510ドル(20日EMA)
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リスク管理の注意点
高リスクイベント
- 米CPI発表(21:30JST): 予想+2.8%に対し±0.1%の乖離でUSD 100pips変動可能性
- ECBラガルド会見(21:45JST): 利下げ終了言及でEUR 150pips上昇リスク
- 政治リスク: 自民党総裁選候補者発言での円急変動注意
ポジション管理
- 推奨レバレッジ: 通常の70%以下
- 同時保有通貨ペア: 最大3ペアまで(相関考慮)
- イベント前ポジション縮小: CPI発表2時間前に50%利確推奨
テクニカル要警戒レベル
- USD/JPY: 150.00(介入警戒)、145.50(サポート決壊)
- EUR/USD: 1.1850(上値抵抗)、1.1550(下値支持)
- DXY: 103.50(強気継続)、101.00(弱気転換)
チーフアナリスト 山田
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