9月9日のグローバル市場は、米雇用統計年次改定による大幅下方修正(-91.1万人)を最大のドライバーとして、リスクオン基調が継続した。FOMCハト派転換期待からUSD弱含み推移も、長期金利上昇が下支えし、147円台前半でのレンジ継続。
日銀年内利上げ観測報道がJPY全面高を誘発、主要クロス円ペアは一時的な調整局面となった。US30/US500は史上最高値更新も、ボラティリティ低下で上値追いは限定的。
※こちらのコンテンツは海外在住の日本人向けコンテンツです。
※投資は自己責任のもとで行うようにしましょう。
主要ニュース分析
本日の主要市場変動要因
• 米雇用統計年次改定-91.1万人修正: 9月FOMC利下げ確率95%超へ上昇、USD/JPY 147.50→146.31レンジ • 日銀年内利上げ観測報道: 円全面高でEUR/JPY 173.50→172.50、政策期待の急変 • 中国8月CPI -0.4%(予想-0.2%): デフレ圧力継続でAUD/USD下押し、商品通貨全般軟調
• US株指数最高値更新: SPX 6,261、NDX 20,765も上昇モメンタム減速傾向 • WTI原油63.07ドル続伸: 中東地政学リスク再燃もDXY上昇が上値抑制
ニュース1: 米雇用統計年次改定による大幅下方修正
【重要度:★★★】【影響期間:中期】
米BLSによる91.1万人の雇用者数下方修正は市場予想68.2万人を大幅に上回り、労働市場のスラック拡大を明確化した。これにより9月18日FOMCでの25bp利下げ確率が95%超に上昇、年内追加利下げ観測も浮上している。
テクニカル分析
USD/JPY は147.50から146.31への下落後、147.00レベルでの買い戻し。日足ベースでは146.00-148.00のレンジ継続も、下値リスク拡大。20日MA(147.20)がキーサポートとして機能。
ファンダメンタル分析
労働市場冷却は実質金利低下を通じてリスク資産支援要因。ただし、過度な雇用悪化はリセッション懸念を高め、USD/JPYの下方向バイアス強化要因となる。
過去比較
2019年8月の年次改定(-50万人)時はFED利下げサイクル開始の契機となり、USD/JPY は108円台まで下落した経緯がある。
ニュース2: 日銀年内利上げ観測報道
【重要度:★★★】【影響期間:短期】
政治的混乱下でも日銀が年内利上げを排除しない姿勢との報道により、JPY全面高が発生。特にEUR/JPYは173.50から172.50への急落となった。
テクニカル分析
EUR/JPY は173.80レジスタンス失敗後の調整。172.00-173.00レンジでの推移が想定され、171.50割れで170.00への下落リスク。RSI(14)は70超高値圏から急落中。
ファンダメンタル分析
トランプ政権の関税政策不確実性低下により、日銀の政策正常化余地拡大。ただし、石破政権の経済政策方針が不透明で、利上げタイミングは流動的。
トレード戦略
EUR/JPY ショートポジション推奨。エントリー:173.00、TP1:171.50、TP2:170.00、SL:174.00。リスクリワード比1:2.5。
ニュース3: 中国経済指標の予想下振れ
【重要度:★★☆】【影響期間:中期】
中国8月CPI -0.4%(予想-0.2%)はデフレ圧力の持続性を示唆。内需不足が鮮明化し、商品通貨および新興国通貨への下押し圧力となっている。
市場インパクト
AUD/USD は0.6650から0.6620への下落。鉄鉱石・銅価格の軟調継続で、豪ドルの構造的弱さが継続する見通し。
リスクファクター
中国政府の追加刺激策発表の可能性。財政・金融政策協調による景気下支え期待がリスクオン復帰の契機となる可能性。
市場インパクト評価
要因 | 短期影響度 | 中期影響度 | 主要影響通貨 |
---|---|---|---|
米雇用統計修正 | 85/100 | 90/100 | USD, JPY |
日銀利上げ観測 | 90/100 | 70/100 | JPY |
中国経済減速 | 60/100 | 75/100 | AUD, CNH |
原油地政学リスク | 40/100 | 50/100 | CAD, NOK |
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トレード戦略提案
メイントレード:USD/JPY ショート戦略
- エントリー: 147.20-147.50ゾーン
- 第1ターゲット: 146.50(リスクリワード1:1.5)
- 第2ターゲット: 145.80(リスクリワード1:3)
- ストップロス: 148.00
- ポジションサイズ: リスク1-2%
サブトレード:EUR/JPY ショート継続
- 追加エントリー: 173.00リテスト時
- ターゲット: 170.00
- ストップロス: 174.00
ヘッジ戦略:VIX Long
- VIX 12.5以下でのロングポジション検討
- 地政学リスク・経済指標サプライズ対応
リスク管理の注意点
高リスクイベント
- 9月10日21:30 米8月PPI発表
- 予想:前月比+0.1%、前年比+2.3%
- 上振れでFED利下げ観測後退リスク
- 9月11日21:30 米8月CPI発表
- 予想:前月比+0.2%、前年比+2.6%
- FOMCハト派シフトの持続性を決定
- 9月11日ECB理事会
- 据え置き予想も、ラガルド総裁会見での追加利下げ示唆リスク
ポジション管理指針
- 経済指標発表前のポジション縮小推奨
- ストップロス厳守(特に対JPY戦略)
- ボラティリティ急拡大時の利確検討
相関リスク
EUR/JPY・GBP/JPY等のクロス円ペア間の高相関に注意。同方向ポジションの過度な集中回避が必要。
重要な免責事項
本レポートは情報提供を目的とし、投資勧誘ではありません。取引は自己責任で行い、適切なリスク管理を徹底してください。
チーフアナリスト 山田
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