前日の海外市場は、FOMC決定を軸とした高ボラティリティ環境となった。USD/JPYは145.48-147.20のレンジで激しく変動し、パウエル議長のタカ派転換が市場予想を上回った。DXYは102.15で引け、ユーロクロス円の上昇が顕著。VIX指数は24.3まで上昇後、20.8まで低下し、リスクオフからリスクオンへの急転換を示した。
豪雇用統計の大幅下振れ(-5.4万人 vs +2.18万人予想)がAUDの全面安を誘発、商品通貨セクターの調整が継続している。
※こちらのコンテンツは海外在住の日本人向けコンテンツです。
※投資は自己責任のもとで行うようにしましょう。
主要ニュース分析
本日の主要マーケットドライバー概要
• FOMC 0.25%利下げ決定、ドットチャート年内2回追加緩和示唆もパウエル発言でドル反発
• 日銀金融政策決定会合開始、政策金利0.5%据え置き濃厚で日米金利差拡大継続
• 豪8月雇用統計-5.4万人の大幅下振れ、労働市場軟化でAUD全面安
• EUR/USD 1.1920で4年ぶり高値更新、ECB据え置きスタンスとの政策格差拡大
• 商品市場調整継続、金続落・WTI原油反落でインフレ期待後退
【重要度:★★★】【影響期間:中期】米FOMC利下げ決定とパウエル議長タカ派転換
テクニカル分析
USD/JPYは145.48サポートテスト後、147.20レジスタンス奪還に成功。日足ベースで長い下ヒゲ陰線からハンマー転換パターンを形成。RSI(14)が30台から50台へ急回復し、短期的なオーバーソールド修正が進行。
147.50-148.00ゾーンが次期レジスタンス、145.00サポートブレイクが下落継続の分岐点。
ファンダメンタル分析
FRBの0.25%利下げは市場予想通りも、パウエル議長の「リスク管理的利下げ」発言が市場のハト派期待を大幅修正。年内2回の追加利下げ織り込み度が90%から65%へ後退。実質金利上昇がドル支援材料となり、金利差取引復活の兆候。
2020年3月以降の利下げサイクルとの比較では、今回は雇用市場の急激な悪化を伴わない「予防的利下げ」色彩が強く、過度な金融緩和期待の修正が妥当。
【重要度:★★★】【影響期間:短期-中期】日銀金融政策会合と政策据え置き予想
テクニカル分析
日銀の政策据え置き予想により、USD/JPYの146.50-147.50レンジでの膠着継続が濃厚。日米金利差(10年債ベース)は3.75%で推移し、キャリートレード環境が維持される見通し。
ファンダメンタル分析
トランプ関税政策の影響評価待ちスタンスが継続。植田総裁の会見では、追加利上げの「条件」についての言及が焦点。2024年12月の利上げ以降、慎重姿勢を維持する日銀の政策ラグが円安圧力を下支え。
OIS市場では年内追加利上げ確率が35%まで低下、日米政策金利差拡大シナリオが現実的。
【重要度:★★☆】【影響期間:短期】豪雇用統計下振れとAUD調整
テクニカル分析
AUD/USD 0.6720サポートブレイク、0.6680への下落継続。AUD/JPY 97.50レベルでの攻防が重要。日足雲下限97.20ブレイクで95.00ターゲットへの調整拡大リスク。
ファンダメンタル分析
就業者数-5.4万人(予想+2.18万人)は2020年4月以来の大幅悪化。中国経済減速の波及効果と資源価格軟調が複合的に作用。RBA利下げ転換観測が再燃し、12月会合での政策変更確率が15%から35%へ上昇。
【重要度:★★☆】【影響期間:中期】EUR/USD 4年ぶり高値と欧州通貨堅調
テクニカル分析
EUR/USD 1.1920突破で1.2000チャレンジへ。週足ベースで2020年高値1.2011が重要レジスタンス。ユーロクロス円も全面高、EUR/JPY 174.50ターゲット。
ファンダメンタル分析
ECB政策据え置きスタンス vs FRB利下げの金利差縮小が主因。ユーロ圏経済指標の相対的安定とECB理事発言の影響。2年債利回り格差が0.85%まで縮小、1.00%ブレイクでEUR/USD 1.2050到達可能性。
市場インパクト評価
項目 | 短期影響(1-5日) | 中期影響(1-4週) | 評価根拠 |
---|---|---|---|
USD強度 | 7/10 | 6/10 | パウエル発言効果、実質金利上昇 |
JPY弱度 | 6/10 | 7/10 | 日銀据え置き、金利差拡大 |
リスクオン度 | 5/10 | 6/10 | VIX低下も豪雇用統計が懸念材料 |
ボラティリティ | 8/10 | 6/10 | FOMC後の方向感明確化で徐々に低下 |
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トレード戦略提案
推奨ポジション1:USD/JPY ロング
- エントリー: 146.80-147.00(押し目買い)
- ターゲット1: 147.80(短期)
- ターゲット2: 148.50(中期)
- ストップロス: 146.20
- リスクリワード: 1:2.1
- 根拠: 日米金利差拡大、日銀据え置き確実性
推奨ポジション2:AUD/JPY ショート
- エントリー: 97.80-98.00(戻り売り)
- ターゲット1: 96.50
- ターゲット2: 95.20
- ストップロス: 98.80
- リスクリワード: 1:1.8
- 根拠: 豪雇用統計悪化、中国経済懸念
推奨ポジション3:EUR/JPY ロング
- エントリー: 173.20-173.50
- ターゲット: 175.00
- ストップロス: 172.50
- リスクリワード: 1:1.7
- 根拠: EUR/USD堅調、ユーロクロス円の上昇継続
リスク管理の注意点
高リスクイベント警戒
- 日銀植田総裁会見(19日15:30) – 追加利上げ示唆でUSD/JPY急落リスク
- 米新規失業保険申請件数(19日21:30) – 雇用悪化加速で利下げ期待再燃
- 欧州PMI速報値(20日) – 経済減速でEUR反落可能性
ポジションサイジング推奨
- 通常時: 1-2%リスク
- FOMC週: 0.5-1%リスク(ボラティリティ高)
- 複数中銀イベント重複時: 最大1%リスク
テクニカル警戒レベル
- USD/JPY: 145.00サポート割れで144.20ターゲット
- DXY: 101.50割れでドル全面安リスク
- VIX: 25.0突破でリスクオフ加速
免責事項
本レポートは情報提供目的であり、投資助言ではありません。取引は自己責任で行ってください。
チーフアナリスト 山田
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