2025年9月15日の海外FX・投資市場は、トランプ大統領の政治リスク発現と中国経済指標の弱さを受けてリスクオフモードが支配的となった。USD/JPYは147.40-50レンジでの推移に留まり、今週の「中銀ウィーク」を控えた手控えムードが鮮明。
金価格は史上最高値圏を維持し、安全資産需要の根強さを示した。ボラティリティは抑制されるも、政治・地政学リスクプレミアムが市場に織り込まれ始めている。
※こちらのコンテンツは海外在住の日本人向けコンテンツです。
※投資は自己責任のもとで行うようにしましょう。
主要ニュース分析
当日の主要ニュース要点:
• トランプ政治リスク: ワシントンD.C.国家緊急事態宣言表明でリスクオフ加速、USD売り・JPY買い優勢 • 中銀ウィーク開始: FOMC(16-17日)、BOJ(18-19日)、BOE(18日)の政策決定を控え取引手控え
• 中国経済減速: 8月小売売上高3.4%(予想3.8%)、鉱工業生産5.2%(予想5.6%)と軒並み下振れ
• 金価格堅調: 3,645ドル付近で史上最高値圏維持、UBS年末予想3,800ドルに上方修正
• NY連銀指数注目: 21:30発表予定の9月製造業景況指数(予想4.3 vs前回11.9)がFOMC前の重要材料
1. トランプ大統領の国家緊急事態宣言表明
【重要度:★★★】【影響期間:短期~中期】
ファンダメンタル分析
トランプ大統領によるワシントンD.C.への国家緊急事態宣言表明は、政治リスクプレミアムの再燃を意味する。移民政策を巡る連邦政府と地方政府の対立激化は、米国の政治的安定性に対する懸念を増大させる。過去の類似ケースでは、2017年のトランプ政権初期における政治的混乱時にVIX指数が15→25レベルまで上昇した経緯がある。
テクニカル分析
USD/JPYは147.50レベルでの戻り売り圧力が強く、146.80-147.80のレンジ内での推移が継続。147.20が新たなピボットポイントとして機能している。RSIは中立圏の45-50で推移し、方向感の乏しさを示唆。
市場インパクト評価
- 短期影響度:7/10(リスクオフによるUSD売り・安全資産買い)
- 中期影響度:6/10(政治的不確実性の継続リスク)
2. 中央銀行政策ウィーク開始
【重要度:★★★】【影響期間:短期~長期】
ファンダメンタル分析
今週のFOMC、BOJ、BOEの政策決定は、年末にかけての金融政策パスを決定する重要な分岐点。特にFOMCでの0.25%利下げはほぼ確実視されているが、パウエル議長の今後のガイダンスが焦点。BOJは現状維持が濃厚ながら、植田総裁の年内追加利上げに対するスタンスが注目される。
テクニカル分析
DXYは100.80レベルでの重要なサポートテスト中。このレベル割れなら99.50への調整リスクが高まる。EUR/USDは1.1730でのレジスタンステスト継続中、1.1780突破で上昇継続の公算。
市場インパクト評価:
- 短期影響度:9/10(政策決定による急変動リスク)
- 中期影響度:8/10(金融政策パス変更による構造的影響)
3. 中国経済指標の下振れ
【重要度:★★☆】【影響期間:中期】
ファンダメンタル分析
中国8月経済指標の軒並み下振れは、世界第2位の経済大国の成長鈍化を示唆。特に小売売上高の予想下振れは内需の弱さを反映し、豪州・NZなどコモディティ輸出国への波及効果が懸念される。2015年中国株暴落時と類似のパターンを示しており、リスク資産全般への下押し圧力となる可能性。
市場インパクト評価
- 短期影響度:5/10(限定的な影響)
- 中期影響度:7/10(グローバル成長懸念への波及)
トレード戦略提案
USD/JPY
戦略:レンジトレード+FOMC待ちのポジション調整
- 売りエントリー: 147.60-70(20EMAレジスタンス付近)
- 買いエントリー: 146.90-147.00(サポートゾーン)
- ストップロス: ポジションサイズの1.5%
- 利確目標: レンジ幅の60-70%(40-50pips)
- FOMC前ポジション整理: 火曜日NYクローズまでに50%利確
EUR/USD
戦略:ブレイクアウト狙い
- 買いエントリー: 1.1745突破確認後
- ストップロス: 1.1710
- 第1目標: 1.1780
- 第2目標: 1.1820
- リスクリワード: 1:2.5
GOLD(XAU/USD)
戦略:押し目買い継続
- 買いエントリー: 3,620-3,630(フィボナッチ23.6%戻し)
- ストップロス: 3,580
- 目標: 3,700(史上最高値更新)
- ポジションサイズ: 通常の50%(ボラティリティ考慮)
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リスク管理の注意点
高リスクイベント警戒
- 火曜日FOMC前日の急変動リスク:通常の2倍のスプレッド拡大を想定
- 政治リスクの突発性:トランプ関連ニュースでの瞬間的な30-50pips変動リスク
- 流動性リスク:日本市場休場による流動性低下
ポジション管理指針
- 最大リスク:ポートフォリオの1.5%以下(通常時2%)
- 相関考慮:USD関連ペアの過度な集中回避
- イベント前整理:FOMC24時間前に50%以上のポジション整理推奨
週間リスクカレンダー
- 火曜日: 英国CPI、FOMC前日調整
- 水曜日: FOMC政策発表・パウエル会見(日本時間3:00)
- 木曜日: BOE政策発表、BOJ初日、米小売売上高
- 金曜日: BOJ政策発表・植田総裁会見
ボラティリティ予想(週間)
- USD/JPY: 平均80-120pips/日(FOMC当日200pips想定)
- EUR/USD: 平均60-90pips/日
- GOLD: 平均40-60ドル/日
総合リスク評価:高(政治・金融政策イベント集中)
チーフアナリスト 山田
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